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2024/04/24 07:28 |
あなたは私のルーク
RPGは何週もしないと話を覚えられませんね。でも、このTOAはほかよりはやったので覚えてます(やり終わってあまり長くないのもありますが)
テイルズは色々やりましたが、これが一番好きです。特に、キャラにほれたのが大きいですね。

ケテルブルクでのifストーリー。



 "ルーク"と言う名前はレプリカ、偽者の自分には重荷でしかなかった。
 本来の名すら与えられず、仮初の名を名のるのは、本物の"ルーク"に失礼だと思っているからだ。アッシュは本物の"ルーク"なのに、なんで自分に"ルークを"与えたのか、ルークにはわからなかった。
「……………」
 ケテルブルクのホテルの一室でルークは問いを求めていた。だが、答えるものはおろかここにはルーク一人しかいなかった。ミュウは、みんなとどこかへ行ってしまったし、ティアもきっと外に出ているのだろう。他のメンバーはカジノに行きたいというアニスを連れて行ってしまった。なので、ホテルにはルーク一人だけが残されていた。
「……はぁっ」
 ベットに転がりながら、どうにもならないため息をついた。こういうことが、自分のマイナス面だと知りながらもルークは堪えることが出来なかったのだった。
「また俺は、ネガティブになってるな」
 このままでいても仕方ないと思ったルークはベットから起き上がり、あたりを見渡した。
 暇を潰せるようなものはなく、やることがないのは知っているが、ついつい見てしまうのは暇人の虚しさだ。当然、やることなんてなかった。
「仕方ない。少し早いけど、シャワーでも浴びるか」
 頭を冷やす意味でもいいと思い、立ち上がったとき。
「ルーク、いるかしら?」
「ん?ティア……何か用か?」
「特に大事な用はないけど……アニスたちもいないし、やることがなくて、それで」
「なるほど。ティアも暇なんだな」
「まぁ……そうね。今は暇だわ」
「それよりも入っていいぜ。ドア越しに話すのって、なんだか気持ち悪いわ」
 どういう意味よ、とティアは文句を言いながら、ドアを開けた。
「あなたも一人なの?」
「ああ。やることがなくてな。カジノには、興味ないし、買い物とかもここではあまりしないしな」
「そう。つまり、あなたも暇なのね」
「ま、まぁな」
 暇なのはお互い様だとティアは思いながら、部屋の中に足を踏み入れた。
 男が一人しかいない部屋に堂々と入ったティアには、ルークへの警戒心がなかった。それは、とても深い信頼関係にあるからではなく、ティアがそれに疎いからであった。しかし、ルークもその考えにはいたらず、お互いなんとも思わずに、近くの椅子に腰をかけた。
「でもティア。なんでアニスたちと一緒にいかなかったんだ?」
「私は特に用事がなかったし、ケテルブルクは私向きのものが売ってないから」
「私向きのもの………ああ、なるほど」
「ルーク。今あなた、何を考えたのかしら?」
 睨みつけながら話すあたり、あまりいい内容ではない気をさせるが、別におかしな内容ではない。ただ、可愛いものがないだけだ。
 しかし、ティアはルークを睨みつけた。照れ隠しなら、もう少し別の隠し方があるをしろよ、と心でツッコミながら、ルークは苦笑いした。
「べ、別に……おかしなことじゃないよ」
「本当かしら…?」
「ほ、本当だよ。そんな大げさに睨まなくても」
 ティアはそうと言って、表情を崩した。それを見て、ルークは安堵して気持ちを改めた。
「それで、俺と話にでも来たのか?」
「そう、なるわね。それ以外には、あなたに用事はないし、私も暇だから」
 さりげなく理由を聞いてみたが、あまりにもティアらしく直球だったので、ルークは大きなため息をつきたくなった。
(ティアらしいと言えばティアらしいけど……期待を裏切られた気分だ)
 期待はしていなかったが、なぜかそんな気にさせられた。
「…?どうしたの」
「別に。少し、考え事をしてただけさ」
 いい意味でも悪い意味でも。いや、今もさっきも悪い意味での考え事に近かった。 だが、ティアはそれには気づかず、首を傾げるだけであった。それがより、ルークに追い討ちをかけるとも知らず…。
「…………ルーク」
 ティアは真剣な表情でルークを見つめる。しかし、見つめるというよりも睨むに近い鋭い視線に、ルークは身体を一瞬だけ引いてしまった。
「あなた、今度は何を考えたの?」
「な、何も考えてねえよ。いきなりなんだよ」
「目を合わせて、言ってみなさい」
 ティアに言われて、目を合わせようとしたが、見抜かれていることに気づき、諦めてため息をついた。
(ホントにダメだな。俺)
「わかった。話すよ」
 自己嫌悪しながら、ルークは自分のくだらない話をし始めた。
 自分の名前は本当の名前は何か、"ルーク"が自分の名前でいいのか、アッシュはなんで自分にルークの名前を語るようにしたのか…を。
 前に何度も何度も話したことであるが、こればかりはルークには苦痛に感じてしまっていた。ティアは、話すルークを見てそう感じて、どれだけ馬鹿なのかを再度実感した。
「あなたは……成長しない部分は成長しないのね」
 第一に思ったことはそれだ。言われたルークも、それには同意した。
「ホントだよな。自分でもくだらないことを悩んでばかりで、情けないって思ってるんだけどな」
「でも、それがあなたらしさでもあるわ。いい意味でも悪い意味でも」
 ティアはかすかに笑みを浮かべながら、ルークを見つめた。それはさきほどの睨みではなく、優しく心配する母親のような表情だった。
「それじゃあ、ルーク。私はあなたのことを"ルーク"と呼ぶわ。そして、向こうが"アッシュ"」
「……?それじゃあ、今までと変わらないじゃないか?」
「そう、変わらない。つまり、あなたは私にとって"ルーク"でしかないのよ。そして、私一人だけのルーク」
「…………」
「これで、あなたの悩みも解決だけど…?」
 言っていることは正しいし筋が通るのだが、ティアに言われたことでドキッとしてしまった。
 気づいてはいないからいえると思うが、今のセリフは普通に言っても言われても、恥ずかしいセリフだ。それを、ティアに言われてしまったルークは、頬を赤くしながら顔を伏せた。
(わ、わかって言ってないよな、絶対)
「どうしたの、顔を伏せて。具合でも悪いの?」
「ち、違えよ。お、お前が気にすることじゃねえ」
「……何よ。人がせっかく心配したのに、その言い方。そういった部分はまだ子供ね」
「んなこと、わかってるよ!」
 今はこの場にいることが恥ずかしくなって、ルークはトイレへと逃げてしまった。そして残されたティアは呆れた、とため息をついた。
 その後、ルークはティアに言われたセリフが忘れられずに、慌ててばかりだったとか。それを見て楽しむ眼鏡は、これを虐めるネタとして使えるみたいなことを言っていたとか、言っていなかったとか。
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2009/11/01 13:59 | TOA

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