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2024/04/24 14:11 |
20歳の誕生日
牧瀬紅莉栖、20歳の誕生日おめでとう記念SSS。
時間ギリギリのため、確認してないので悲惨の一言orz あとロボノの影響もあってか、一人称がカイっぽくなってしまった気がします。
と、とりあえず、祝いたかったんだ!今回はそれで、勘弁して下さいm(__)m



「――さて、そろそろ戻るか」
 気になって時間を確認してみると、思っていた以上に時間をとっていた。
 来る前は今の三十分前には帰る予定だったのだが、長々と話に夢中になっていたせいで確認が遅れてしまった。
 しかし不幸中の幸いなことに、帰りは徒歩でも問題ない。というよりも、この距離だと電車を使うほうがデメリットが大きい。つまり、歩くのが一番ということだ。
「えー! もう帰るのー」
「明日は必修の試験だからな。勉強しておかんと浪人確定だ。というか、来た時に言っただろう?」
「そんなの聞いてないわよぉ! バカ岡部!」
 と、わがままを言うのは、今日20歳の誕生日を迎えた祝いに買ってきた酒の影響でキャラが変わっている紅莉栖である。
 普段の彼女ならここは帰してくれるのだが、酒に飲まれた今は俺の帰りに不満であった。
 俺は今日の試験がなかったらまだここに留まったかもしれないが、今日はさすがに無理があった。というのも、今日の試験は俺が一番危ないと思っている教科だ。2週間前から勉強をしてきているが、一番の不安ということもあって、自信がまったくない。
 だからラボに戻って、少し勉強しておきたい。そう思っているのだが――
「せっかくの誕生日なのに、わたしを放って帰るのか!」
「放ってなんかいないだろう。それに、来た時、お前はわかったと言っただろう!」
「そんなの撤回だわ、撤回! いいから今日はここに泊まりなさいー」
 こいつはそんなに俺を帰らせたくないのか。
 嬉しいのだが、同時に面倒だなと思った。なぜなら、この酔っぱらいの相手を納得させられるようなことが思いつかないからだ。論破厨という、いらないものも持っているしな。
「い・い・か・ら! 泊まりなさい」
「だが! 断る!」
 これ以上ここにいてはダメだ。
 本能が頭の中でそうささやいたので、俺は椅子から立ち上がり少し急ぎ足でドアへと向かった。
「…………」
 そして、ドアを開き、出ようとした時に一回だけ、紅莉栖を見た。
「…………はぁ」
 その姿を見て、俺は馬鹿だなと呆れてため息ついた。
 そして、部屋から出るのをやめて、先ほど座っていた場所に戻って、両手を上げた。
「わかった。少しだけならいてやるよ」
 我ながら弱い意志だと呆れてしまった。
 だが、捨てられた子犬のような目で見つめられたら、放っておけるわけもなかった。
 これも惚れた弱みなのか。本当になさけないな、俺は。
「…………」
 しかし俺の言葉に紅莉栖は喜びはせず、逆にプイッと不機嫌ですと言いたげな態度をとった。
 何が不満なのだ、何が。
「馬鹿岡部。せっかくの誕生日なんだから一緒にいてよね」
「誕生日だと言われてもだな……」
「岡部にはロマンがないのよ、ロマンが。普通、誕生日って言ったら好きな人と一緒にすごして幸せを噛み締めるものじゃない」
「……」
 スイーツ(笑)
 しかし、ストレートに好きだと言われて、少々頬が緩んでいる自分がいたりする。
 やっぱり、俺は単純である。
「そうしたくとも、できない。確かにお前のことは大事だが、学校も大事だ」
「普通はここで、私と学校、どっちが大事なの? って聞くところだろうけど、岡部って真面目だから真剣に考えそうだから聞かないでおくわ」
「……」
 よくご存知で。
 でも、どちらが大事か周りを考えず自分の思う素直な答えは前者だろう。だが、口が裂けてもそんなことを紅莉栖には言えないが。
「……キス」
「ん?」
「キス、しなさいよ。そしたら、帰ってもいい」
「いい、のか?」
「ただし、試験が終わったら今日一日、ずっと私といること。それが条件」
 それなら問題ない。というよりも、その条件を出されずとも、俺は今日、一日ずっと一緒にいる気だったので、むしろ都合がいい。
「わ、わかった。終わったらここに来ればいいのか?」
「終わったら電話して。それから決める。それよりも」
 というと、紅莉栖は目を閉じる。
 そして、俺は彼女の頬をなで、唇を近づける。
「誕生日おめでとう」
 一言、言って俺は赤い頬の彼女の願いを叶えた。
 その味は、少しだけ酸っぱかった。
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2012/07/25 23:54 | STEINS;GATE

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