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2024/03/28 21:02 |
君から聞きたい。あけましておめでとうございます
思うがままに書いた簡単なものです(即興+見直しなし)



「今年も始まったか」
 1月1日になって数分、テレビで流れているカウントダウンの番組を見ながら、ようやく年が変わったのだなと実感をし始めた。
 だが実感といってもそこまで強いものはなく、まだ去年であると思い込んでいる自分は少し残っている。
 いきなり新年ですと言われても、それを実感する材料はまだこの時は不足しているからなのだろう。年賀状・おせち・初詣などをして、ようやく新年であることを自覚できる。
 なので、今の俺には新年だと言われてもまだ実感がほとんどない状態であった。
「新年ですと言われても、どうも実感が湧かないわね。テレビであけましておめでとうございますと言われても、なんだかな」
「テレビの言うあけましておめでとうございますは新年らしさを感じさせるようでさせないな。どちらかと言うと、新年だからこの挨拶をしますというだけだな」
「同感。言うだけで気持ちが一切こもってないわね。でもテレビなんて大体いつもそんなものよ」
 テレビで新年の挨拶をされてもどうにも新年の実感がしない。だが彼らは、それが仕事なのだから仕方ない。
「それよりも助手よ。今年もようやく始まったわけだが……」
「……?」
「…………」
 俺は言おうか言うまいか迷った挙句、言うのをやめた。言ったら言わせているようでありがたみがなかったからだ。それに気づいて行ってくれたほうが、俺は嬉しい。
 紅莉栖ははっきり言いなさいよねと睨んで来たが、俺はその視線を無視してテレビに視線を戻し黙りこんだ。
「…………何か言いなさいよ」
「何といって欲しいんだ?」
「……」
 何も言わない紅莉栖をちらりと横目で見る。すると真っ赤になって視線を落としていた。
 スイーツ(笑)の脳内ではそれらしい妄想が流れているに違いないだろう。
「新年になってもお前は相変わらずだな。クリスティーナ」
「う、うるさい!それと新年になってもティーナが直らないあんたも相変わらずよ!」
「フゥーハハハハハ!当たり前ではないか!何故ならお前の名前はクリスティーナでありそれ以上でもそれ以下でもないのだからな!」
 額に指をおいて高笑いする俺に、紅莉栖は何も言わずにため息だけをついた。
 呆れているのか言っても無駄だと悟ったのか。おそらくどちらも含まれていると思っておくことにする。
「それより、さっきは何を言おうとしたのよ?」
 またそれに戻るか。まあ好奇心旺盛な天才HENTAI少女なのだから、知りたいと思ったらわかるまで知ろうとするのだろう。
 そんなところが、実に紅莉栖らしい。俺はそんなところも……。
「ッ……!」
 また恥ずかしいことを考えていると自覚して思考を停止した。
 本心であるが、未だにこの気持ちを自覚するのは恥ずかしい。だから未だに俺の気持ちを伝えられないのだろう。
「……自分で考えろ」
 言って俺はまたテレビに逃げる。
 きっと自覚してしまったせいで、俺の顔は真っ赤になっている。それを紅莉栖に気づかれると恥ずかしいからである。
「何よ……教えてくれてもいいじゃない」
「…………」
 俺は紅莉栖を無視し続ける。
 教えはせん。教えたら、俺の目的は達成できないだろう。
『あけましておめでとうございます』
 この言葉を一番最初に聞きたいのはお前なんだから。

<fin>
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2012/05/02 15:25 | STEINS;GATE

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