注意
最初から最後まで鬱です。
設定は美琴が○んでしまっている設定です。
上条→美琴です。
以下の注意点を理解し、それでも大丈夫だと言う方のみ見てください。
最初から最後まで鬱です。
設定は美琴が○んでしまっている設定です。
上条→美琴です。
以下の注意点を理解し、それでも大丈夫だと言う方のみ見てください。
御坂美琴が死んで今日で一ヶ月がたった。
戦争の傷跡を残しながらも変わらぬ学園都市の風景は、一面真っ白…とはいかないが、衣服や風景は冬景色。
コートを着る者はもちろん、マフラーや手袋、かなりの少数ではあるが毛糸の帽子を被った人もちらほらいる。
その中で上条当麻は、コートやマフラー、手袋をつけず制服姿で一人歩く姿は周りから一人浮いていた。だが本人はそれを気にするどころか、一人だけ浮いていることにまったく気づいていなかった。
「……………」
しかも浮いているのはその寒そうな姿だけではない。
今歩いている人通りの中で、一人だけ今にも消えてしまいそうな儚い表情を浮かべており、その目には少しだけ生気がないように見えた。
他人から見れば歩く屍か何かを思わせる上条の今の姿は、誰一人近づこうと思うものはおらず、逆に離れていたいと思う人のほうが大多数を占めていた。
「……………」
街を一人で歩きながら、上条は一ヶ月前のことを思い出す。
あれは不幸や事故などでは片付けてはいけないことだったが、もし仮に簡単に言葉としてまとめてみろというのであれば、それは罪と罰という言葉以上に適切なものはない。
罪と言うのは、力がなかった・弱かったことへの罪。
罰と言うのは、大切な友人である御坂美琴を殺してしまったことへの罰。
だから罪と罰。そう、これが一ヶ月前の結果だった。
今でも良く覚えているなとあのときのことを思い出すと、上条は自然とくっ…と唇をかみ締め胸の奥にある謎の感情を押し込めた。
今でも………覚えている。というよりも一生忘れることはないだろう。
戦争で生き残った魔術師との戦い。
幻想殺しでは不利な相手。
初めて自分の死を予感するが、もしそうだとしても最後まで足掻こうと右手を広げ、それを死の予感に向き合い、術を防ぐ瞬間…。
いきなり横からやってきた美琴に突き飛ばされ……上条はそのおかげで避けることは出来たが……美琴はそのまま術を喰らうことになり………跡形もなく蒸発した。
「くっ…!!?? はぁ…はぁ…はぁ…」
あのときのことを思い出し、上条は急に吐き気に見舞われる。それを気合で無理やり押しとどめ、心臓の辺りに手を置いた。
何故なら、美琴は上条の命を救い、上条は命を救われる代わりに美琴を殺したのも同然だったのだから…。
「みさ………か……ッ!?」
誰かを救えなかったことを悔やんでいるから苦しんでいる。だが苦しんでいる理由はそれだけではない。
好きだった………。
上条当麻は御坂美琴が好きだった。
心の底から、一人の女の子として、彼女に、惚れていた。
だから上条は事件が起こる前日に告白し、美琴はそれに泣いて喜んだ。
そして両想いだった二人はやっと結ばれ、幸せな日々を送る………はずだった。
しかし現実は幸せとは逆の不幸。悪い言い方をすれば絶望を二人に与えた。
「み…さか…」
ふらふら街を歩いていたつもりが、知らない間にいつもの自販機が近くにあるベンチまでやってきてしまった。
そして上条は無意識にここへ来てしまったことを激しく後悔した。
「なんで………来ちまったんだよ!」
このあたりは美琴との思い入れのある場所の一つでもあった。
記憶を失った時、初めてあった場所はここでもあるし、上条と美琴がよく使用する待ち合わせの場所であり、告白をした場所でもあった。
同時に一ヶ月間、意識して避けていた場所でもあり、今最も来たくなかった場所もであった。
だが美琴との思い出を忘れきれない自分がいたらしく、無意識に歩いてきてしまったのはこの場所だった。
その場所で無意識にここに来た自分に腹が立ち、チッと舌打ちをしてその場を去ろうとする。
「………………」
が、ここから去りたくない意思の方が去ろうとする意思の何倍も強かった。
そんな自分に呆れながら、上条は去ることを諦めベンチに座った。
「……………チッ」
座って感じたのは隣がいない寂しさだった。
いつもいて当然だった彼女が隣にいない。今の上条には、それがとても辛かった。
同時に実感する。自分がどれだけ彼女のことを意識していて、どれだけ愛しかったかを。
「……………………………ばかじゃねえの」
それは美琴に対してではなく、自分に対しての言葉であった。
(好きな子を死なせちまったってのに、俺は一人で生き残ってる。馬鹿じゃねえのか)
誰かを守りたいが、美琴を守りたいに変わったのは上条が自分の想いに気づいた時からだ。
しかも告白の言葉の後に誓いとして、美琴を絶対に守ると言った。だと言うのに守れず、逆に守られてしまい殺してしまった。
こんな自分は死ぬべきだ思った。何も出来ず殺してしまったのなら俺も死ねばいいと思った。
でも…………それだけは出来ない。
何故なら上条が死ぬことを一番望まないのは美琴だった。そして上条はそれを知っていた。
だから死ねなかった。死ぬわけには、行かなかった。
せめていなくなってしまった彼女の最後の願いとして、上条はそれを叶えなければいけない。
もうこの世にはいない彼女のために……。
上条の一方的に考えた願いだとしても……。
上条にはもうこの世にいない彼女のために出来るのは、もうこれしか残っていなかったのだから。
「…………………………さむい」
一人残された上条は自分を強く抱きしめた。
「……………さむいよ……みさか」
彼女はもう、ここには………いない。
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