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2025/05/15 01:04 |
とある初々しい(?)二人(カップル) 後編
恋人同士らしくない二人…というのはどうしても安定しません。これだけではありませんが、不安定なのは力不足と言いざるえません。
構成ミスが原因でグダグダになってしまいました。なんだか……散々だな。でも、『下手には下手なりの戦い方がある』というように下手には下手なりの書き方で補ってます。



 料理の腕は一人暮らしの上条よりも美琴の方が上であった。そのため、上条は自分が作るよりも美琴が作ってくれる料理を、お世辞抜きに美味いと答えられる。
 元々、美琴の学校である常盤台の教育課程の中に家庭科(料理)が入っていたため、必然と料理をする機会は多く存在した。しかも常盤台は世界有数のお嬢様学校。女の子の友人関係の中で、自然と料理に行き着くことも多かった。
 だが、美琴の料理の腕がいいのはこれだけではなく、友人の土御門舞夏の指導があってのものでもある。だからこそ様々な料理を作れたりレシピを知っているわけであった。
「頼んだ俺が言うのもなんだが、普通は親子丼なんて料理はお嬢様は料理しないと思うんだが、そのあたりはどうなんだ?」
「ま、普通はしないわね。健康やカロリーを考えたりするからそれに合わないものは作ったりもしないわね。
 常盤台は食堂で食事を済ませちゃうから自然にそのあたりも考えるし、女の子だから体型にも気を使わなくちゃいけないから、料理もそれが反映しちゃうこともあるのよね」
「食堂と言う存在は上条さんにしてみれば嬉しいですな」
 涙しながら上条は常盤台の設備を羨ましく思った。食堂が存在してくれれば、インデックスのことを何とかできるのに…と考えるが現実は不幸だ。
 美琴は苦笑いしながら、作った親子丼を(自分なりに前回の反省を生かせた点があったが、まだまだだ)と自分なりに評価をつけていた。何口か食べてみて気になった点があったので、大体の課題はもう決まっているようだった。
「やっぱりまだまだね。食べなれているものじゃないけど、細かい部分が気になるわ」
「そうか?俺はこれでも十分満足だけど……」
「でもやっぱり自分が納得できる腕まで登りたいし、当麻にももっと美味しいものを食べて欲しい」
「つまりそれは、次はもっと美味いものを期待して良いということですか?」
 美琴は頷いて「期待しててね」と上条に笑った。
 次に作る時が楽しみだ。


 中学生が高校生の家に泊まるのは非常識かつ不謹慎であるのは、常識上では理解している。しかし、上条の部屋にはインデックスが居候している。そのため、美琴を泊めることにはあまり抵抗がなく、感性がずれてしまっていた。
「幸せなんだが、不幸だ」
 自分の恋人が家に泊まる幸せと、非常識なことを許してしまっている自分の間違いが上条は不幸だと思った。義務教育が終わり高校生にもなれば話は軽くなるが、やはり中学生を泊めるのは全面的に賛成ではなかった。
「って、誘った俺も俺だ。……何を考えてるんだか」
 まだ片手ほどの回数だが、そろそろやめた方がいい気がするがやめたくない自分がいる。わかりやすく言うのであれば、悪いとわかっていてもやってみたいと思う好奇心を抑えきれず校則を破る時に似ていた。
「惚れた弱みなのかな…」
 呟いてみても答えは出なかった。
 埒があかねえと思い考えることをやめた上条は、ベットの横に布団を敷いて気を紛らわした。そうしている間に、美琴は風呂から上がって上条に声をかけた。
 上条は簡単に返事をして、布団を敷き終えるとそのまま風呂の方へと行った。
 
 数分後。
 少し早めに風呂に上がった上条は、濡れた髪を拭きながら部屋に戻った。そこには眠そうにテレビを見る美琴の姿があった。
「眠たければ寝ればいいだろう。別に寝ちゃいけないとは言ってねえんだし」
「嫌よ。しかもここは当麻の部屋よ。何をされるかわかったもんじゃないわ」
「だったら、もっと警戒心とか見せろよ!ったく、隙だらけで一緒にいる俺が不安だ」
 不安と言うより、怖いと上条は心の中で訂正した。だが美琴はにやりと嫌な笑みを見せた。
「別にいいのよ。純白な乙女を襲っても誰も責めないわよ?」
「世間ではそれを犯罪と言うんだ!!!」
 大声で反論してしまったので、隣の土御門にまで聞こえたかもしれないが、この際、やけだった。
「大体な!なんで上条さんが中学生に発情しなくちゃならんのですか!?」
「なによ!!美琴さんを恋人にしてるんだから、今更発情してもおかしくないわよ!!」
「なんで発情させたがる!!上条さんは中学生に発情したロリコンです、なんて烙印を押されたくありません!!」
「そのロリコンと付き合うのは私だからいいじゃない!」
「そういう問題じゃねえ!!それで済んだら苦労は…って、美琴さん、なんですかその笑みは?」
(笑っている!でも、いや~な予感をさせるこの笑みは……)
 上条は何度も経験しているから知っている。だが、家の中では勘弁したいものだと思っているが、その願いは儚い。
 美琴はかなり怒っている。だからこの後の結末はまさに、
「不幸だーーーーー!!!!!」


 上条家の電化製品は一部破壊され、今日も不幸だと実感した寝る直前。
 幸いなことに生活に困らないエアコンとテレビ、電子時計が破壊されただけで済んだ。しかし、買う金がない。
「最後の最後まで、不幸だ」
 困らないとはいえ、かなりの金額になっているので上条は自分の不運を呪うしかなかった。
「大体な、お前がビリビリばっかするから家の電化製品ばかり被害を受けるんだ!」
「悪かったって言ってるでしょ!それに、怒らせたアンタも悪いわよ!」
「どこが悪いだ!上条さんは世間から見た正論しか言ってねえだろう!」
「今更何にこだわってるのよ!もう私と言う彼女と付き合ってる時点じゃない!」
「そういう意味で言ってるんじゃねえ!!」
 以下、省略。
「はぁー。仕方ないわね、弁償してあげるわよ」
「マジでせう?」
「どんな理由であれ、壊したのは私だもん。それに、弁償しないとアンタにずっと責められ続ける気もするし」
「弁償してもらえるのは嬉しいが、理由に喜べないのはなぜでしょうか…」
 結局、今度美琴が弁償することでけりがついた(上条はやはり喜べなかったが)
「それで、何かすることがある?」
「…………」
 上条は目を逸らした。
 言いたくないが言わないといけない。あまりにも情けなくて、逸らすことで抵抗をした。と、言っても現実は残酷だった。
「明日までにこの量を終わらせないといけません」
 出された課題の量は、一日で終わるかわからないほどの量だ。それも教科は全て統一ではない。
 上条が馬鹿で課題ばかり出されていることを知っているとはいえ、課題の量を見せ付けられるたびに美琴はため息をつきながら手伝いをする。そして、今回もため息をついて「仕方ないわね」とどんな課題があるのかを見てみた。
「ふーん。これ、先週やったとこね。それでこれは………うん、なるほど」
「あのー美琴さん。質問しづらいですが、果たして今日で終わるのでしょうか?」
「無理。量が多すぎるわ」
 現実は厳しく残酷だった。
「毎回見てるけど、この課題って細かくて基本的なことすらも問題に出してるわ。『こんなこと、書くまでもないわよ』ってこともあるほどだから、課題を出してる教師には感服だわ」
「問題の多さを感服されても、上条さんの痛みを増すだけです」
「ま、とりあえずやりましょう。終わらなくてもやるだけやっておけば、自分のためになるものよ」
 そんなもんか?と思ったがあえて口にしなかった。それよりもこの量をどれだけ減らせるのかが、今の問題だった。
 終わらないとしても、やるだけやったという誠意さえ見せれば……と期待したいが、ただでさえ単位が危うい上条にはその願いは虚しいだけだった。
 美琴も薄々感づいているが、やるだけにこしたことはないと思っておいた。
 結局、上条のために寝る間を惜しんで勉強するしかなかった。
「「………不幸だ」」
 重なった声も、今は虚しいだけだった。


 上条の部屋には、ペンを走らせる音だけが響いていた。恋人同士の二人も、勉強となると年下の先生と年上の生徒の関係へと変化する。
 常盤台のレベルは大学に匹敵すると聞いたことがあるが、美琴がすらすらと解いていく光景を見ていると事実であると、自分との差に上条はため息を隠せなかった。
「なにため息をついてるのよ」
「いや、別に」
 料理、勉強、他にも様々なことが出来る。さらには常盤台が誇るエースで学園都市を代表とするレベル5。対する自分は、馬鹿で不幸で取り柄らしい取り柄がない。
 上条当麻と御坂美琴。並べてみるとどうして自分を好きになったのか理解できない。
 会うたびに電撃を浴びせられ勝負を挑まれる。毎回怒らせてしまうし、名前すら呼んでもらえなかった。困らせることもするし、迷惑だけかけるときもある。
(なんでかわかんねえだよなー)
 決定的要因が何なのか、上条には未だにわからなかった。
(相思相愛だから、今更だけど…やっぱ、知りたい)
「なあ、美琴。一つきいていいか?」
「別にいいけど、面倒な質問じゃないわよね?」
 課題をこなしながら、そつなく答えた。上条だったら一度手を止めてしまう場面だが、そのあたりも勉強できる人間との違いか…。
「単純なことだ。美琴、なんで俺が好きなんだ?」
「………………………………は?」
 理解するまで、三十秒かかった。
 そして三十秒後に美琴から電気らしきものが漏れはじめた。
「待て待て待て!!!ここで漏電したらしゃれにならねえよ!!」
 すぐさま向かい側の美琴に向けって右手を伸ばす。上条が肩に手をおくと、美琴の電気は何事もなく消え去った。
 とりあえず、さらなる電化製品の被害は避けられたことに安堵した。が、美琴の動揺に伝染したように上条も動揺した。
(また何かやっちまったのか?!上条さんは地雷を踏んで踏んで、最後に大きな地雷を踏んでしまったのか!!
 ヤバイ!上条さんの命もついにここまでか??!!)
 どう考えても大げさな予想を立てていると思えるが、上条は真面目に自分の命の危険を感じた。
 一方の美琴は、少しだけだが状況が飲み込めて来たらしく、自分の顔を悟られないように俯いた。
「………思い、だしたじゃない。馬鹿」
「思い出したって…なにを?」
「……告白の時」
 言われて上条も俯いた。
(思い出した!あの時も俺はこんなこと言ったんだっけ)
 告白してきたのは御坂美琴から。だから告白した本人はとても恥ずかしく、今も思い出すだけで漏電してしまう。
 しかしされた上条も十分に恥ずかしい思い出だ。要するに、ある意味の黒歴史で幸せな歴史であった。
「………悪い、今のなし。思い出した」
「何度も言わせないでよ。馬鹿当麻」
 それ以降、二人はしばらく何も言えず俯いたままだった。
 ちなみに、告白の時になにがあったのかはまた別のお話。


 気づいた時には午前三時を回っていた。
 上条の課題は約3分の2が終わったが、それでも微妙なところだ。難しいものは美琴、基本的なものは上条がやってきたがスピードは美琴のほうが早かったが、それもここまでだ。
 上条は美琴が眠そうに目をこすっていることを見逃さなかった。本人は気づいていないようだが、十分前から頻繁に目をこすっていた。
(無理に頼んじまったし、寝不足で迷惑をかけるわけにはいかねえよな)
 上条は注意を引くようにあえて「御坂」と呼んだ。美琴は久々に呼ばれた名前には敏感であったため、「なに?」と少し怒ったように顔を上げた。
「もう休んでいいぜ。これ以上やったら、学校で居眠りしちまうだろ」
「……いい。やる」
 美琴は何もごともなかったように、課題をこなし続ける。
 こうなると美琴は何を言ってもやるやつだ、と知っている。だから余計に休めさせたくなる。自分の身体を省みず誰かを助けに善人が自分であるように、美琴も自分と似たような善人だと上条は知っていたから。
 なので、上条は区切りをつけた。
「四時。その時間に終わらなくても、お互いに寝る。それでキリをつける」
「でも、それじゃあ当麻の課題が終わらないじゃない!」
「気にするな。上条さんの課題よりも美琴さんが身体を壊さないようにするほうが重要ですから」
 そう言うと課題を続けた。まだまだ先は長い。
 上条は最後の力を振り絞るように課題を続けた。向かい側の彼女も上条と同じように、課題を手伝い続けた。
(不幸ばかりだけど、不幸でも幸せがあるもんだな)
 なんてことを思いながら、問題を解いていく二人は黙々とペンを走らせ続けた。
 恋人同士らしくない光景だが、二人からしてみればそれでも十分幸せだったようだ。


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2010/02/18 22:30 | 禁書

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