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2024/05/05 15:51 |
memories 第3話-2
修正をしたバージョンです。
この回で一番いちゃいちゃしてるのは多分、この回じゃないだろうか?



 美琴と恋人となった上条だが、美琴とはどのように接すればいいのかわからずにいた。
 マンガをたくさん読む上条には、『知識』上から物語上での恋人のイメージは出来る。よくありそうなデレデレのバカップルや初々しくてまどろっこしいカップル、他にも色々なカップルをイメージできた。だが不幸なことに、自分と美琴をイメージできるぴったりなカップルがイメージが、思いつかなかった。
 もしかしたら『記憶』の中ではイメージが出来たのかもしれないが、もはやそれは失われた遺産。『知識』でわからないということは今の自分にはイメージできないということだ。
 だがこの境遇を考えると、自分でもすんなりと納得できる。記憶を失った自分と記憶を失う前からずっと好きだった少女。一流の作家に書かせたら、いい話になるのかもしれないほどありえない状況だ。こんな状況下に立たされてしまった少年である自分は、少女役の美琴にどう接すればいいか。作者は簡単には答えをもらえなかった。
「ちょろっと、さっきからどうしたの?」
「ちょっと考え事だよ。上条さんは記憶を失ってから色々とありますからね」
 彼女の美琴には、特に変わった変化はないように思えた。昨日と同じ口の聞き方に電撃ばかり浴びせてくる短気な性格は、上条を意識してるのか、態度と見た感じでは判断できない。
 些細な変化はあるように思えるが、上条は恋人以前の美琴を知らない。それが悪い影響を示し、美琴はどう考えているのか読めずにいた。
(自分から言っときながら変化なし。もしかしたらこいつ、俺を使って遊んでるのか?)
 態度を考えると十分にありえそうな可能性だ。実はあの告白も、姫の遊びの一つなのかもしれないと上条は思えなくもない。美琴がどんな人物かしらないからこそ、考えられることだ。
 しかしそれは美琴が恥ずかしがっている、素直ではないからだと上条は知る由もない。だが、記憶がない上条には美琴が一歩を踏み出せない理由がわからず、疑心暗鬼になっていた。
(でもそういったやつじゃないって言うのは、昨日見ただけだとわかるんだけどなー。……ん? 昨日?)
 そこで思い出したのは、深夜の出来事。昨日、自分が思い悩んでいることを明かして頼んだこと。正確な時間は今日なのだが、深夜の出来事だったので、時間については少し曖昧だった。
(そうだよ。上条さんがわからないんなら教えてもらえばいいんじゃねえか。なんで忘れてたんだ?)
 上条は御坂と声をかけた。何? と顔を上げたのを見計らって上条は言った。
「御坂と恋人になったのはいいけどさ。恋人らしくなるのにはどうすればいいんだ?」
 その言葉を言った瞬間、周りの世界は凍りついた。
「…………………………………」
「………えっと………あれ?」
 上条以外の人間はいっせいに静まり、上条を真剣に見ていた。いや、睨みつけていた。
 だいぶ遅くなったが、ここは某大型のファーストフード店。コンビニに行ったのはいいが、あまり言い商品がなかったので健康には悪かったが最寄のファーストフード店に寄ったのだ。
 安くてお手軽。味は高級品と比べればうまいとは言いがたいが、まずくはなく腹にも溜まる。上条としてはそれなりにいい場所だった。
 だが上条はこのファーストフード店に存在する、ある落とし穴を知らなかった。
 一つ目は、このファーストフード店は学生に愛されており、春休みの朝でもよく人が来ていたこと。
 二つ目は、ここにいる学生は様々な学校の生徒であったこと。
 そして、もう一つは…。
「おい。あれって『超電磁砲』の御坂美琴じゃねぇか?」
「しかも隣のやつって噂の『無能力者』じゃねぇのか?」
「え、マジ? それじゃあ、あそこに座ってるのって有名人の二人ってことか?」
「あ、知ってる知ってる。先月学園都市のために戦った有名人(ヒーロー)でしょ? テレビで見た」
「そうそう。風紀委員でもないのに、大規模な事件に介入して敵を倒しちゃったって言う」
 学園都市では『上条当麻』と『御坂美琴』は有名人となっていたことだ。
「えっと……? これはなんでせうか、御坂さん?」
「そうだ。すっかり、忘れてた」
 美琴は重大なミスをしていたことに気づき唖然としたが、それからもう後の祭り。
「それよりも聞いたか? あの二人、恋人なんだってさ」
「うんうん。やっぱり、あの二人、出来てたんだ」
「でも運がいいよね。まさか恋人同士の二人に出会えるなんて、俺って今日はラッキー?」
「そうだ! このことを友達に自慢しちゃおう。いい自慢話になるだろうなー」
 上条はこの状況はとてもやばいと感じた。というよりももう手遅れだろうと気づいた。
「お、おい。なんだか不幸な予感ですが……って、御坂?」
「あ………あはは。あはははは」
「あのー、御坂さん。いかがしたのですか?」
「あははははーッ。失礼しましたーーー!!!!」
 美琴は耐え切れず、上条を引っ張って店を出た。もっとも、美琴が否定しないで逃げたということは確定情報だ、と解釈した学生がほとんどであったということを、美琴は知る由もなかった。


 美琴が走ること、一時間。
 以前にも似たような展開があったことを知るはずもない上条は、なんでそんなに体力が持つんだと思っていた。その一方で美琴は、近くにあったベンチに座り知恵熱を出していた。
「…とりあえず、どうしたんだよお前」
「あは…あはは…あの時よりも酷いわ。不幸だー」
「それはこっちのセリフだ。なんで俺も一時間、走られっぱなしにならなくちゃいけないんだよ!」
「あーもう! わかった! わかったから!! だから少しだけ気持ちの整理をさせてー!!!」
 やってしまったと後悔している美琴を上条は不思議そうに見ていたが、触れてはいけない気がしたので触れないことにした。
「とりあえず、そこの自販機でなんか買うか。何がいい?」
 と上条はある自販機を指した。指された自販機を見て、美琴はここかと思い出し勝手に自販機に向かって行く。上条はよくわからず、おいと声をかけたが無視されたので、後を追っていく。
「なんだ? 自分で買うのか?」
「……ま、ちょろっと見てなさいって」
 その場でぴょんぴょんと跳ねて、身体の安定感を確かめた。何度かしているが、一応安定感のある方がいいのは美琴なりのこだわりだ。
「技名は省略っと…せぇーの」
 上条は嫌な予感がした。不幸センサーではなく、単純にこれから起こることは見てはいけないような気がした。
「お前……まさか…ッ!」
 そしてその予感は不幸にも的中した。
 ちぇいさーっ!と叫びながら、美琴は自販機の横を思いっきり蹴っ飛ばした。それって器物損害にあたるかもしれねえ犯罪じゃんかよと思ったが、今更と思ったので言わないでおいた。
 そして、蹴った本人は何事もなかったかのように取り出し口からジュースを取り出した。
「『いちごおでん』………はぁー、ついてないわね」
 目的のものではなかったのだが、もったいないので飲むことにした。そしてその隣にいる上条は、共犯者であることを感じて。
「あっ! こらー、逃げんな!!」
(無実だ。俺は無実だぞ!)
 共犯者容疑をかけられそうだったので、自分は無実と言い聞かせながら自販機と美琴から逃げた。


 とりあえずまた走ること五分。
 上条と美琴は先ほどとは違う別のベンチに座っていた。あの場から離れたかった上条からすれば、ここにベンチがあるのは十分運がいいと思うのだが、隣に共犯者がいるのにはさすがに目を瞑りたい気分だった。
「御坂さん。あなたは自販機は蹴るものだと、勘違いしてないでせうか?」
「それぐらいわかりますー! ただあの自販機はおんぼろだから、ああしない出てこないのよ。もっとも、それを知らずに二千円が飲み込まれた、って騒いでたやつがいたけど」
「……………………不幸だ」
 ニヤニヤしながら見つめる美琴の視線で、それが誰だが十二分にわかった。だが、もしお金を入れていたらどんなことになっていたかなど、想像するだけで不幸な気分になれた。そして、それをすでにやってしまっている自分がいたことがさらに不幸だった。
「んで、さっきは何の話だっけ?」
 不幸なオーラを察し、美琴は話の話題をかえたほうがいいと判断しさきほどの話題に戻す。ああ、と上条は思い出しファーストフードでの質問をもう一度繰り返した。
「恋人らしくなるのには、どうすればいいんだって話。そのあたりがどうにもわからねぇんだよ」
「あ、うん。…恋人、ね」
 美琴は赤くなりながら俯いた。上条が自分にほとんど恋愛感情を持っていないことはわかっているが、いざ言われてみると嬉恥ずかしい。
 一方的な気持ちであっても、好きな人に『恋人』といわれることが嬉しいと表情に出てしまうあたり、彼女としては大変嬉しいのであった。
 それに気づかない上条は、よくわかっていない表情をしている。このあたりが鈍感であるゆえに、女の子からの好意に気づくことが出来ない要因のひとつなのかもしれない。
「??? どうしたんだ、赤くなって?」
「な、なんでも…ない。それよりも……その、話なんだけど」
 この質問の答えは実は美琴の中ではもう出ている。頼まれていた時点ですでにいくつかの答えは出ていて、それを実行しようかと朝に考えていたのだが、朝の結果はあのザマだった。
 そうなると別の機会でと考えていたが、意外にも上条から話を振ってくれたことなので、この場で実行することが出来る。のだが……。
「………………」
 言うのが恥ずかしかった。
 実はこの答えは、恋人でなくとも友人の間でも普通のことだった。さりげない会話の中でも言えるし、美琴も友人たちの初春や佐天にもこれと似たようなことを言った。しかし、美琴は上条にそれすら言うのも恥ずかしい。
 というのは、これを実行したら本格的に恋人に近づける気がしたからだ。そして、男友達が上条だけであった美琴からすれば、初めての経験だったから余計に言いにくかったのだ。
「??? 御坂さーん。おーい」
 そんなことも知らない上条は、反応のない美琴の心理状況など理解できていない。だが上条は、美琴とは別の意味で困惑していた。
(あれ…? そんなに難しいことだったのか?)
 頼んでいたことであったし、いくつか考えていると思ったのだが少し早すぎたかと後悔していた。一応、美琴の言うような恋人になれば仲が深まるだろうと考えたのだが、早急すぎたかと焦っていた。
「わかんねぇなら、わかんねぇでも」
「そそそそうじゃないのよ! その………あるん……だけど…」
 自信なさそうな声と赤く染まった頬。そしてうるうるとした眼。上条は典型的な弱気な女の子の表情に萌えてしまった。
(うぅっ!これは……わかるぞ! こ、これは……そう! 御坂の陰謀だ! そうだ、そうに決まっている! 上条さんがこんな子……って、もう俺たちは恋人なのに何を言っているんだ!?)
「そのね………言って、いい」
「ハイオネガイシマス」
 そして、恐る恐る上条を見る美琴の視線は、王道の上目遣い。やはり上条は萌えた。
(やばい! 色々な意味でやばいです! 上条さん、御坂さんの上目遣いに萌えてます! いやいや、最近の『知識』では蕩れという言葉があるということを覚えているのだが……ああ! そういうことではなくてだな!!)
 美琴にドキッとしてしまった上条の脳内はパニック状態。
(御坂は十分すぎるというよりも、百点の試験で百点以上の点数を上げたいほどのオーバーな子だと思いますけど、その子が何故、わたくしの前でこんなキャラをしておるのでしょうか? 果たしてこれは幸なのか不幸なのか微妙なラインだと、上条さんは困惑を隠せないわけですが)
「あ………うぅぅ」
(やめて! その表情で視線を逸らさないでー! 上条さんの色々なものがデンジャーですぅー!!)
 色々な意味で葛藤している二人は、精一杯に何かに耐えている。進まない話と大きくなっていく感情は、ある意味二人には拷問に近かった。
「い、言うわよ! 美琴さんは言うわよ!! いいわね!?」
「はいおねがいしますはやくいてくださいおっしゃってください」
 そして、当たって砕けろとやけくそになった美琴は、土下座をして頼んだ上条に大きな声で叫んだ。

「名前で呼び合いましょう!!!!」

 美琴が言ったのは名前で呼び合うこと。ずっとずっと"アンタ"と呼び続けるのは、恋人でも友人らしくないと思っていた。美琴の中でも名前で呼び合うことは、上条とはもう少し親密になるきっかけだったのだ。だが、素直になれない恥ずかしがり屋の美琴からしてみれば、このお願いをすることも恥ずかしい分類に入る。
 友人には言えても、男性友達だった上条には言おうにも言えない、ある種の壁であった。美琴は今それを壊すことが、自分への一歩だと考えていた。
 しかし、本心ではこれは一番恥ずかしくない分類の願い。このほかにもあるのだが、美琴にはこれを言うのが今の限界であった。
 一方の上条は別にその程度と思った。名前だってさっきも言ってみたし、簡単なことじゃねぇかと思ったのだが…。
「…………………………………………」
「……………………ねえ?」
「…………なんですか?」
「…………………名前」
 言えない。恥ずかしすぎて言えない。穴があったらその穴をさらに掘って入りたいほど恥ずかしかった。
「……………………………」
「……………………言えないの」
「あ……いや………………その……だな」
「………………うん」
「………………………み……………こ、と」
 囁くようにボソリといった。これが今の上条の限界だった。
「…………………………とぅま」
 美琴も釣られて上条の名前を言ったが。上条よりも小さくほとんど聞こえない。それでも上条の耳には届いた。
「…………………」
「…………………」
 しばし無言になる二人。一体この雰囲気をどうすればいいのかわからず、視線を彷徨わせた。
 真っ赤になった顔は、生まれて初めての最高値に達しているのかもしれないと、美琴はふと思った。それほどまでに、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだった。
 それは美琴への恋愛感情がまだない上条も、同じ境遇だった。だが上条は…この雰囲気はをどうにかしたいと思ってはいるが、嫌ではなかった。それが指すのは、美琴への恋愛感情なのかそれとも別の何かなのかは、まだ上条にはわからなかったが、少しだけ答えに近づけたような気がした。
「………………………………悪い。恥ずかしすぎる」
「……………うん。私も」
「……………悪い。ちょっと無理」
「…………私も…無理っぽい」
 両方とも名前で言うのは難しいようだ。だが、それでも上条からしてみればせっかくの提案を無碍には出来ない。なので、努力はしようと思って言った。
「…………あの、さ」
「…………何?」
「…………………努力はする」
「……………………うん」
 そして二人は、しばらく黙り込んだ。恥ずかしいことではあったが、少しだけ恋人に近づけたかもと上条も美琴も思いながら…。


 それからしばらくして、上条と美琴は病院へ向かうこととなった。
 一ヶ月も寝ていた人間であったことと記憶のことがあるので検査するようにと、カエル顔の医師からの連絡を受けた上条はちょうど行く場所もすることもなかったので、医師の言葉に従い、世話になっていた病院に向かっていた。
 退院してまたすぐに検査のために病院に戻るということは、退院してすぐの上条には少々複雑な気持ちを植えつけた。
 一ヶ月も寝ていたため、病院での生活は数時間しか覚えていないが、病院事態には好印象を持ち得ないのが一般的な高校生だ。というよりも、病院が好きと言える人間はそうそういないだろう。
 上条は複雑な気持ちであったため、病院への道をまた歩くことにため息を隠せなかった。隣にいた美琴は上条の気持ちをよく理解できてはいないが、元気がないことにはとっくに気づいていた。
「少なくとも、記憶がなくなる以前の上条さんは病院嫌いの上条さんでいたいものです」
「毎週のように入院はしてたけど、好きだとは言ってなかったわよ? もっとも、第二の住まいと化してたから本心はどうなのかは聞いたことないけど」
「第二の住まい……何故か知りたくない過去の一つである気がする」
「でもアンタのあの病室。アンタが使っているところしか見たことはないわ」
「上条さん、特別の個室ですか。不幸だ」
 何故、そんなに入院したのかはいずれ知ることになるであろうと思い聞かなかったが、興味を完全には隠せなかった。自分が想像する『上条当麻』とは不幸体質の無能力者であるが、不幸不幸と言っても毎回の不幸で入院するのだろうか?
 そして、さきほどのファーストフードでの会話。『先月学園都市のために戦った有名人(ヒーロー)』と言われた事を思い出すと、不幸だけで入院したとは思えなかった。
 だが、全てを知っているかもしれない美琴が知っていること全てを話してくれるとはどうしても思えなかった。話してくれるなら、会ったその時に全て話してくれるかもしれないし、約束をしてくれたはず。でも美琴は一言『ごめん』と言ったきりだ。
(俺って……なんなんだ? 何が起きたんだ?)
 記憶を失った時、何故失ったかを教えてもらえなかったこともおかしい話だ。脳細胞が破壊されたことを知りながらも、原因は教えてくれなかった。それは医師としての当然の処置なのかと思ったが、すぐに否と思った。
(なんでそんな詳細なことを教えておきながら、原因を教えなかったんだ?)
 患者を気遣ってなのかどうかは知らないが、あの医師と自分とでは信頼関係のようなものは存在していたことには、昨日の接され方で上条は気づいている。だったら、教えてくれてもと思った時にある推測を立てた。
(まさか……あの医師は記憶を破壊された詳細を知らない?)
 考えられる結論はそれだ。医師の都合であろうとも、何かしらのことは言ってくれるはずだ。だというのに教えないということは"知らない"。
 だったら誰が知っているかと、考えてすぐに思い浮かべたのは、御坂美琴。
(知ってるのか? でも俺には教えたくないのか?)
 美琴が何を考えているのか上条にはまったくわからない。知っているとしたら教えてくれてもいいはずなのに、教えてくれないということは、何かしらの理由がある。だが言ったところで、美琴は何も教えてくれないだろう。
(なぁ美琴……お前は俺の何を知ってるんだ? 記憶と美琴は何か関係あるのか?)
 心の中で問いかけても、美琴は何も教えてくれない。それでも、上条は訊かずにいられなかった。
「どうしたの、そんなに人の顔ばかり見て?」
 上条はなんでもないと視線をそらすと、変なのと美琴も視線を歩いていた方向に戻した。それを見て、上条はもう一度美琴を見た。
 時折うれしそうに微笑んだり恥ずかしそうに赤くなったりと忙しい表情の変化だけでは、上条には美琴の深い部分まで読むことが出来ない。なんでそんな表情をするのか疑問に思え口から出したくなったが、上条は静かにその言葉を飲み込んだ。
「あ、ついでに病院に知り合いがいるからさ。紹介しようと思うんだけど、いい?」
「それって、上条さんの知り合いか何かですか?」
「知り合いも、何もアンタが命を救った人物の一人よ。そして、昨日話した家族の一人」
「ああ。昨日の大切な家族のことか」
「検査って言ってもそのあと暇でしょ? せっかくの機会だし会わせちゃうわ」
 上条が相槌を打つと美琴は検査の間、その子と相談すると言った。何かあるのだろうと思ったが、記憶に近づけるし、自分の知り合いだと美琴の口ぶりで思ったので断る理由はなかった。
「きっと驚くわよ? なんていたって、私の妹達なんだから」
「………妹達?」
 果たして『上条当麻』は何をしたのか…昨日の話が余計に気になる発言であった。

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2010/09/14 22:04 | memories

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