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2024/05/04 03:07 |
ある日常の誤り
初ssです。
フェイマリを書くのはこれが初めてなので、これでいいか不安です。



 銀河連邦未加入の星、エリクール2号星。
 この星で、銀河系の全てをかけた戦いが繰り広げられていたことを知るのは、数少ない。だが戦った彼らは、歴史に残すことのない戦いであったのにも関わらず、見返りを求めることは決してしなかった。
 彼らが望んだのは平穏の日々。争いごとのない、平和を望んだだけであった。
 そして、この星には、銀河系を守るために戦った地球人の少年と地球人の少女がいた。
「よし。今日はこんなところかしら。あとは、特になかったわよね?」
「ああ。お金、食材、家具、買う物はこれで全部のはずだ」
 交易都市ペターニ、ゲート大陸の商業に関する中心地である。
 この地ではたくさんの品が売られ、毎日、賑わっている。少し高い品が多いが、品の質は保障され、生活する上で必要な品は大体この地で買える。
 フェイトとマリアがエリクールに住み始めて、そろそろ2か月が経とうとしていた。すっかり、この星に住み慣れてしまった二人は、今の生活に苦労を感じていない。むしろ、望んでいた静かな生活を約束されている分、幸せであった。
 二人はイリスの野にシャトルを止め、その辺りに地球から仕入れた資材を使い、家を建てて住んでいる。静かで自然が多い場所のため、平穏に暮らすにはとてもあっている場所だといえた。
「では、どこかでお茶をしましょう。時間もあることだし、ペターニに来るのも久々だし、いい機会だわ」
「そうだね。荷物運びにも疲れてきたし、僕も少し休みたい」
「あら。あなたはそんなに貧弱な身体の持ち主だったかしら?」
「茶化さないでくれよ。これでも、荷物運びは疲れるんだよ」
「ふっふっふ。わかったわ。それじゃあ、あそこの店に入ろうかしら」
 マリアは上機嫌に、フェイトの前を歩いていく。
つい、数ヶ月前はクォークのリーダーであり、誰にも対しても強かった彼女であったが、今は一人の少女。あの頃には見れなかった満面の笑みは、今の生活がどれだけ裕福であるかを、表していた。
 そして、フェイトは相変わらずであった。変わったことと言えば、クリエイターの仕事をするにあたって知識が足りないから、勉強をすることが多くなったことぐらいだ。あとは、ゲームが出来なくなったため、体を動かしてばかりいるぐらいか……。
「それにしても、この町は相変わらずの賑やかね。どこへ行っても人がいるわ」
「クスクス…」
「な、なによ……おかしなこと、言ったかしら?」
 今のマリアの発言は、少し可愛げがあるとフェイトは思えた。まるで、元気に走り回る女の子が言いそうな発言で、マリアにはあまり似合わない。だが、今のマリアには少し似合っていたから、フェイトは笑ってしまったのだ。そして、どこか可愛げがあったからでもあった。
 マリアはそれが気に入らないのか、頬を膨らませて、フェイトを睨んだ。
「いや、今までのマリアだったら言わなかったセリフだったから、つい」
「ま、まあ…私もそうかもしれないと思ったけど……だからって笑わなくても」
「ごめんごめん。それだけ、マリアは変わったってことさ」
 フェイトはごめん、と一言謝り、マリアの頬にキスをした。
 マリアはキスに頬を赤くし、フェイトから顔を逸らした。
「な、なんだか……上手く言い包められた気分だわ」
 嬉しいのだが、同時に負けてしまった気にさせられた。でも、それより恥ずかしさの方が勝っていた。
「ほら、店にも着いたし座ろう」
「………あなたには、勝てないわね」
 今の自分には、フェイトの行動に勝てる自信がない。マリアはそれを身に染みて感じた。



 マリアが注文をしたのは、アイスのミルクティー。一方のフェイトはホットコーヒー。しかし地球とは、決定的に違ったことがあった。
「まだ、地球での感覚が残ってるわね」
「言えてる。名前は同じでも少しだけ味が違う」
「地球で言うなら、『外国の文化、独特の味』というものかしら。でも、またいずれ慣れるわ」
 今まで口には出さなかったが、地球での飲み物の味に慣れてしまっている二人には、まだ少しだけこの星の飲み物に違和感があった。かなり長い時間、この星にいたのだが、別の星に住むことが初めての二人には、まだ地球が基本のようだ。
「食べ物は食べなれているからいいとしても、お茶はまだ時間がかかりそうね」
「そうだね。毎日、喫茶店に行くわけじゃないし…」
「……愚痴てもしょうがないわ。それに、文句ばかり言ってたら、この星にはなれないわ」
 マリアは話をきって、ストローに口をつけた。フェイトはそんなマリアをじっと見た。
「な、なによ……」
「あ、いや……見ほれちゃって」
「なッ??!!」
 不意打ちで言われた言葉に、マリアは顔を赤くした。
「ななな、なにを言ってるのよ、馬鹿!こんなの、普通でしょう?!」
「普通だけど……ストローを使って飲むマリアなんて、そう何度も見れるものじゃないと思うよ」
「それは……そうだけど………でも、見ほれるほど?」
「マリアだから…」
 フェイトは笑顔を浮かべながら、答える。そうされるとマリアは、どういえばいいか返答に困った。
(ホント、恥ずかしいことばかり言うんだから)
「そういえば、マリア。仕事の方は?」
 困っていたマリアの助け舟を出すように(本人は無意識)、フェイトは話の話題を変えた。
 しかし、ここに来て仕事の話と言うのは、マリアからしてみると少し残念なことでもあった。
「順調よ。女王陛下やネルがくれる仕事なんて、クォーク時代よりもずいぶん楽。少しものたりないぐらいよ。それに、急ぎでもないから、むしろ暇よ」
「流石はマリアだね。僕なんか、なれないことだから少しきついよ。地球では、バイトをしてなかったし、なにせ初めて任されることばかりだからね」
「暇だったら今度、手伝ってあげるわ。ただし……」
「ああ。わかってるよ、マリア。その貸しはちゃんと返すよ」
 見返りというものを欲していることを悟ると、フェイトはコーヒーを飲みながら頷いた。
「でも、フェイト。私は少し不服よ」
 マリアはコーヒーを飲むフェイトを睨む。ちょうど話を終わったことを見計らってのことだ。フェイトは何をしたかわからず、少しだけ頭をかしげた。
「いきなりなんだよ…」
「今日ってデートではなかった?その時に、仕事の話はおかしいと思うのだけど」
「それは……確かに」
 それに関してはフェイトは反省する。確かに、プライベートに仕事の話をされては、不服にもなる。
「それに、フェイトは私のことよりも別のことばかり気にしているようだし……」
「それは………えっと…」
「今さっき、通った店員の女の子、見てたでしょう?」
 ギクッとフェイトは冷や汗をかく。
 仕事の話をしていたとき、通った店員の女の子を眼で追っていた。マリアはそれが不服だったから、いきなり文句をつけたのだ。
「そんなに胸が大きいのがいいの?」
「えッ…?!僕はそんなつもりじゃ…」
「フェイト!あなたは、私という人がいながら!!!」
「ちょっと待ってッ??!!ってどこから銃を!!」
「問答無用。フェイト、あなたは私を怒らせた」
「それは男のセリフだーーーー!!!!!」
 断末魔を言う間もなかった。
 デートは散々であった。これの一番の被害者は誰だったのか……それは第三者にお任せしたい。
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2009/10/24 23:44 | SO3

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