忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/05/09 13:41 |
勝負と笑顔と勘違いと
またまた小ネタです。
最近、こればっかりで情けない。でもリアルが忙しいのと集中力とモチベーションが上手く噛み合ってないせいか、短編を書くのは今は困難だったりorz
元ネタは原作・超電磁砲の第三話より。といいか、あれを自分なりにアレンジしただけですw

あと、一つだけ設定を生かせてなかったけど…これを入れたら長くなって複雑になりそうだし別にいいか…。



 ゴガン!! と雷が落ちたような音が、公園に響いた。
 しかしその音は雷の音であっても雷ではない。さらに言うなら、本物の雷ほどの威力を持ったものでもない。
 だがそれは力の加減を一歩間違えれば街を分断しうるほどの力。学園都市ではそれを能力、扱う者を能力者と呼ぶ。
 そして、能力者でもそれほどのものを扱える者はごく少数。その中の一人、学園都市では超能力者と名づけられていた地位に値する者の一人。
 それが、この音の原因の元であり威力を生み出した人物。その名前は………。
「おいビリビリ!!! いきなり超電磁砲をぶっ放すことはないだろうが!!!」
「アンタが無視してるから悪いんでしょうが!! それにどうせその右手には効かないんだから別に問題ないでしょう。あと私の名前は御坂美琴! 一体何十回言わせる気なのよ!?」
「わかってるよ。って今言いたいのはそういう問題じゃねえだろう!!! 大体お前、俺が防げなかったらどうしたつもりなんだよ!?」
「よく言うわよ。防げなかったら、防げなかったらって毎回言うけど、毎回防いでるじゃない」
「常識的に考えれば、いきなり殺人的の威力の電撃を浴びせられたら、誰だって防ぐだろう! それに今のは今までで一番洒落にならないほどの威力だったぞ! もし俺が避けてたら、大変なことになってたかもしれないだろうが!!」
「でもアンタは防いだ。ちょっと全力だったのに…ムカつくわね」
 美琴は上条の足元に落ちたコインを見て、何事もなく自慢の能力を防いだ上条に怒りを覚えた。
 超電磁砲、これさえも防ぐのだったらどうすればいいんだと考えるが、きっと自分の電撃使いの能力でも上条の力には勝てないだろうと、ため息をついた。
「まずお前が全力になった超電磁砲を防ぐ相手なんて、俺か一方通行ぐらいだけだろう。というよりも、全力になんかならないでくれよな」
「残念だけど私が勝つまでそれは無理ね。というよりも!!! 勝負よ勝負! さあ、今日も勝負してもらうんだから!!」
「はぁ~お前の脳みそには俺と勝負すること以外何かないのかよ。上条さんとしては、大迷惑なんですけど」
「い、いいから!!! 勝負よ勝負!!! そ、それで………罰ゲームを受けてもらうんだから!!!」
「はぁ!? 罰ゲームだぁ!!?? 一体いつからそんな話になってるんだよ…っていうか、上条さんが負ける時は上条さんの命がなくなる時では」
「ああ、大丈夫よ。心臓が止まっても電撃で心臓マッサージをして起こしてあげるから安心して。それに、鉄橋のとき私の電撃を喰らって生きてたじゃない」
「あれは………あれは別だろう! あれは………」
 美琴が言ったのは妹達の件。上条が身体を張って命を懸けて美琴を説得して、その後の一方通行を倒して美琴とその妹達、そして二人は知らないが倒した相手、一方通行すらも救ったあの事件のことだ。
 確かにあの時上条は、美琴の電撃を防ぐことなく受け、死ぬ一歩寸前だったかもしれないほどの怪我を負った。だがあの時は美琴の能力の調節により、なんとか上条は生き残れた。
 そして今、上条はわかっていないがその話題を出してしまったことを美琴は後悔している。
 どんな理由であれ、自分を救おうとしてくれた相手、今となっては好きになってしまった相手を痛めつけて殺していたかもしれなかった出来事は、今もまだ美琴の中で罪として残っている。
 もちろん、上条はそんなことも知らないし美琴もそのことは表に出さない。ただ思い出すたびに、少しだけ罪悪感に蝕まれ胸がちくりと痛む。
 そしてそれは今も、美琴の胸の中で起こっていた。
「………まあいいわ。それよりも! 早く私と勝負なさい! さもなければ、私の不戦勝よ」
「はぁー今日も御坂さんの考えにはため息しか出ませんよ」
 そんなことは一切知らず、今日も自分の不幸を呪っているようなことを言いながら上条は立ち上がった。
「まあ好きにすればいいさ。もう慣れちまったし、潰した方が早そうだし」
「潰す……潰す、ね………いいわ!!! そのふざけた態度、今日という今日こそ間違えだって証明してやるんだから!!!」
 宣戦布告するように上条に指を指し、美琴は叫んだ。それに上条は、あ~火に油だったかと美琴がやる気を出してしまったことに、ため息をついた。



 結果としては、今日も美琴の敗北だった。
 電撃、砂鉄剣、超電磁砲など、能力で出しうるものを全てを防いだ上条は、いつも誰かを助ける時ようなシリアスな表情は一切見せるようなことはなく、まるでおびえる子供のように能力を右手で防いでいった。
 最終的には制服が汚れたり少し切れたりはしたが、上条自身には怪我はなく制服と体力、そして時間を損しただけの結果であったようだ。
「……………なんでよ」
 敗北してしまった美琴は、能力を使いすぎて息が少々切れていた。さらに体力も消費してしまい、今となっては戦場となった川原の地面の上に尻餅をついていた。
 その向かい側では、少々汗をかいた上条が額の汗を腕で拭い何が? と美琴の言葉を聞き返した。
「いつもアンタはそう。いつも私の能力だけを防いで反撃しない。いつもならその拳で相手を殴ったりしてるのに、どういうつもりなのよ?」
「いつもならって。上条さんは誰にも殴るような不良じゃないありませんよ。それに俺が拳を握るのは誰かのためだし、今のお前にだって拳を握って殴る理由なんてないぜ」
「……………」
 上条の返答を少し予想をしていたが、数る的の中から一番狙いやすい的をいるような予想通りの答えに、少しだけ安心してしまった。
 多分、これがあいつだからと、美琴はなぜだか安心した理由がわかるような気がした。
「でも、だったらなんで私との勝負に付き合うのよ。その気になればアンタは拒むぐらい出来るじゃない」
「まあ、拒もうと思えば拒めますが…って勝負を突きつける御坂さんが言いますか」
「うるさいわね! それよりも、なんで拒まないのよ?」
 私が訊くのもおかしいけどと視線を逸らしながら言うと、そうだなと上条は腕を組んで考える。
 その間に美琴は地面に手をついて、それを支えにしてゆっくりと立ち上がった。その後に、短パンとスカートについた砂など汚れをパンパンと、叩いて落とした。
「う~~~~~~~~~~~~~~ん。多分、だけどな」
「多分…何よ? いいから言ってみなさいよ」
「そっか。なら言うぞ。多分な、御坂が楽しそうだからだな」
 え? と呆気を取られてしまい、美琴は驚きの表情を隠せずに浮かべてしまった。上条はやっぱ気づいてなかったかと頭をボリボリとかきながら言う。
「最初の頃は勝負勝負うるさくって、それに振り回されてすげえやだな~って思ってた。でも日につれてか、勝負中のお前の顔が凄く楽しそうだったから」
「………」
「生き生きとしてって言うか、子供が友達と遊んでいる時の顔っていうか、そんな感じで楽しそうだったから。それを見せられちまったら、さすがの上条さんも断れるものも断れなくて」
「………えっと、つまり?」
「まあ要するにだ。勝負中のお前ってすごく楽しそうだから、それを奪っちまうのは上条さんとしては罪悪感が出てしまうかなって思って」
「……………アンタは」
 ん? という上条に向かい側の美琴は不安そうに言う。
「アンタは無理やり私が勝負を仕掛けて、そのたびに私のわがままな勝負につき合わされるのって迷惑? それとも私の楽しみを奪わないために、仕方なく付き合ってくれているの?」
「別に迷惑してないし、仕方なく付き合ってない。それに俺はお前が楽しそうに笑う顔、好きだぞ」
「え……?」
 好きと言われ恥ずかしさと嬉しさ、動揺などで美琴は真っ赤になって俯いた。ちなみに表には出ていないが、心の中でやったやった!!! と好きと言われて舞い上がっていた。
 一方の上条はそんなこともまったく気づかず、どうしたんだと髪をボリボリと掻いて、見るからにわかっていなそうな表情を浮かべた。
「すすすすすすすすすすき!!!??」
「??? ああ、(御坂の笑う顔が)好きだぞ」
 しかし美琴は上条の好きを間違って解釈してしまっている。残念であるが、恥ずかしさで動揺中の美琴にはそれの解釈を改めて確認するほどの余裕は一切残っていない。
 というよりも、間違えを完全に真実だと思い込んでしまっていた。当然であるが、鈍感な上条はそれに気づかずに続けざまにハテナマークを頭に浮かべていた。
「ああああああああえええええええっとえっとえっとえっと………ほ、ほんとう…なの?」
「??? あ、ああ。嘘じゃない…だろうな」
 そして美琴の笑う顔が好きが美琴が好きと間違った解釈のまま会話を続けた結果、見事に入れ違った答えの結末は、
「……………ふにゃ~」
「だああああぁぁーーー!!! なんでそこで漏電するんだーーーーー!!!」
 上条が自分のことが好きだと言っていると勘違いしてしまった美琴は、嬉しさのあまり今まで一番の威力の漏電を起こしながら意識を失った。
 ちなみに翌日。上条の好きが異性としてではなく笑った顔を指していただけを指していたことを知り、勘違いの恥ずかしさと間違いの絶望に八つ当たり気味に怒り狂うのだが、それはまた別のお話。

<終わり>
PR

2010/05/03 23:10 | 禁書

<<とある恋人の夏物語 後編 | HOME | 拍手レス(四月・2)>>
忍者ブログ[PR]