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2024/05/07 13:30 |
結婚のことを考えましょう
結婚のことを考えての小ネタ。
この中の二人のことをバカップルと言うんですねw



 あの戦争から何年も経ち、上条当麻は20歳・御坂美琴は18歳になったある日のこと。
「そろそろはっきりさせましょう」
「はっきりって何をだ?」
「私たちの関係よ。決まってるでしょう?」
 上条と美琴の今の関係は恋人同士だ。能力レベルのことを除けば、どこにでもいる普通のカップルで特別飛び出している特長はない。
 上条は鈍感だけど美琴のことが好きな男で、美琴は未だに素直になれないお嬢様だけど上条のことが好きな女である。ただそれだけである。
 恋人同士なのに何を、と思ったが頭の回る美琴はそれを承知の上で訊いてきているのだろうと長年の付き合いで知っていたので、そのことに気づいた上条は文句を言う前に考え直した。
「………………まさか、わかれ―――」
「そんなわけないでしょうーーーーーー!!!!!!」
 ゴガン!!と超電磁砲が撃たれたときのお決まりの衝撃音があたりに響き渡った。
 もちろん、超電磁砲を何に使ったかもお決まりである。
「し、死ぬかと思った……」
「アンタがありえないことを言うからよ! 大体、私はアンタ一筋だってことはアンタが私の次によーーーく知ってるでしょうが!」
「ま、まあ…そうだな………」
 余談であるが、美琴に興味を示した男が美琴に近づこうとすると、美琴はすぐさま男を能力で追い払い、近くに上条がいるときは上条の腕に抱きつき、いない場合は彼氏持ちなので興味を示した男に言い放って去っていく。
 少々やりすぎな面はあるが、それほどまで見知らぬ男と上条との態度に天と地の差があることに上条は少し嬉しさがあった。同時に、やりすぎだと思う一面も一応あるが。
 だから上条は自分が大事にされていることはわかっていたので、美琴の言ったことは素直に正論だと認められた。
「アンタだって……わ、わたし一筋でしょ?」
「ま、まあ、な」
 上条は顔を赤くしながら頷いた。
 美琴一筋なのは確かである。だがそれをいざ言われると鈍感な上条でも恥ずかしかった。
「そこで、この話よ」
「私たちの関係、って話か。で? 具体的になんだ?」
「…………………」
 上条がそう訊ねると、真っ赤になって急に黙り込んでしまった。
「あのー御坂さん? 一体何を話すおつもりでせうか?」
「……………簡単な、ことよ」
 その割には顔を真っ赤にして向き合おうとしない。
 美琴がこんな状態なのに簡単なことなのか、上条は疑問に思ったがとりあえず何を訊かないと何をするにもことは始まらないので、美琴に先を促すと。
「もう、大人でしょ……だから……その………そろそろかなって」
「そろそろ…?」
「うん………そろそろ……することを考えないといけないかなって思って」
(する? するって……あのするか? ん?? 大人ってことだしそのする、だよな)
 言葉だけ聞くと上条の考えることは、年頃に相応しい考えである。
「えっと御坂。マジ、ですか?」
「ま、マジも何も本気に決まってるじゃない…………こんなこと、嘘で言えないっつーの」
(………する、のか…)
 まさか美琴から先に言われるのは上条も予想外であったが、この際そんなことはどうでもいいと思えてしまうほど嬉しかった。
 一応、上条も結構な知識を持ってしまった年頃の男の宿命の持ち主なので、このことに関しては嬉しい以外に言葉が思い浮かばないほど嬉しかった。
「それじゃあ……行くのか?」
「行くって、どこに?」
「え? ホテルじゃないのか?」
「ほ、ホテルゥゥ!!?? ば、馬鹿! 今日はダメ…じゃなくて、どうしてホテルなのよ!!」
「だって、するんだろ? するって……そっちのするじゃないのか?」
「そ、そうね………ごめん。そっちじゃないの」
「……そ、っか」
 そういって上条は肩を落とした。期待をしていないつもりだったが、実は結構期待していたみたいだった。
「お、落ち込むんじゃないわよ! そっちはまた機会と場所を改めてするから!!!」
 ちなみに、美琴も上条と同じように結構な知識を持ってしまった年頃の女の宿命である。
 そうなってしまった原因は、未だに暑苦しい愛情を送ってくる白井に100パーセントあるのも宿命であるが、その詳しい話はまた後日。
 閑話休題。
 言葉が一言足らなかった美琴は、改めて今回の話のより具体的に簡潔に言った。
「結婚のことよ」
「ああ……ってはぁ????」
 予想もしていなかった言葉に上条は驚いた。
「け、結婚!!??」
「そ、そうよ! お互い大学生だし歳もそれなりだしそろそろ考えたほうがいいかなって」
 上条と美琴が恋人同士になって三年半以上が経過している。互いの親は親戚同士であり、二人の中は親公認の付き合いだった。
 なので恋人以上の関係、夫婦について考え出してもよかったのだが、上条の鈍感さと美琴の高校生活が原因で大学になってようやくこの話が出た。
「ちょっと待て! 結婚って……えええーー!!??」
 しかし上条は結婚と言う言葉にはまったく縁がなかったので、恥ずかしさがだいぶ和らいできた美琴とは違い、未だに驚きを拭えなかった。
「そんなに驚くことかしら? 私は何年も前から考えていたことだけど…アンタは違うの?」
「違う違う違う!!! 今まで結婚のけの字も出てこなかったんだぜ?」
「そう……なんだ」
 悲しそうに美琴は言った。
「その、だな……結婚ってまだ早いかなって」
 それに上条はすぐさま思っていなかった理由を話すと、今度は不機嫌そうに顔を膨らませ、一回だけ重たいため息をついた。
「別に遅くはないわよ。私たちは長く付き合ってるし、元々結婚前提での付き合いだったじゃない?」
「あ………………ソウデシタッケ?」
「わかってるくせにしらばっくれるんじゃないわよ!」
 前髪から雷撃の槍を飛ばし、それを右手で防ぐ。いつも通りの光景である。
「そ、それで…結婚っていきなり言われてもな…」
「わ、わかってるわよ。いきなり過ぎたわよ。でも、考えてもそろそろいいんじゃないかしら?」
 確かに、そうかもしれないと上条は頷いた。
「だから、さ。わ、私たち、近いうち結婚するってことで、いいの、かしら?」
「えっと……そ、そうなりますね」
 関係ってこのことかと、上条はやっと気づいた。
「近いうち結婚する恋人同士、でいいのよね?」
「あ、ああ。それで、いいです」
 お互いの顔は真っ赤なトマトをイメージさせられるほど赤く染まっていた。
 ちなみにこんなに恥ずかしい話をするのは半年以上ぶりであった。
「……………ね、ねえ?」
「なんだ?」
 真っ赤になって俯きながら美琴は指をもじもじ動かす。そんな美琴が可愛いと思った上条であったが、そう思えたのは少しの間だけ。
 何故なら上条はすぐに余裕をなくしてしまうからであった。
「結婚したら、私の名前はその…かみじょうみこと…になるんだよね?」
「そ、そうなるんじゃないんせうか?」
 一瞬、御坂当麻という名前が頭に浮かんだが、美琴が上条の名を出したと言うことは上条当麻のままでいいのだろう。となると美琴がこちらに嫁いでくることになる。
 それを理解した瞬間、上条の頭はオーバーヒートを起こし目の前が真っ白になった。
 しかし隣にいた美琴の真っ赤な顔を見て、美琴も俺と同じで恥ずかしいんだと美琴の心情を表情から理解すると少しだけだが冷静さを取り戻した。
「そぅ………な、んだ。じゃ、じゃあ」
 オーバーヒットから復帰したばかりの上条を置いて、美琴は視線を逸らしながら会話を続ける。
「ぷ、ろぽーずは………どう、なるのかな?」
「ぷ、プロポーズウゥゥゥゥ!!!!」
 そして二度目のオーバーヒート。今度は冷静さを取り戻すきっかけを得る前に目の前が真っ白になった。
「ちょ、ちょっと!!! 勝手に気絶しないでよーーー!!!」
 そういって美琴は少しだけ痺れるほどの火力加減で上条に電気を送りこんだ。
「うおぉぉー!!?? こら! ビリビリはやめろって言ってるだろう!!!」
「アンタが勝手に気絶するから悪いのよ。せっかく頑張って言ったのにアンタったら……」
「せっかく? …………ぁ」
 そして上条は数十秒前にあった出来事を思い返し俯いた。
 それを見ていた美琴も上条が俯いたことで思い出したことを理解し、自分も伝染したのかまた恥ずかしくなってしまい俯いた。
「ぷぷぷぷろぽーずって……さ。こ、こういうときって……ひ、ひつようなのか、なって……おもって」
「ひ、ひつよう……な、なんじゃねぇ、か?」
 テンパリながらプロポーズのことを話し合う二人。自分たちのプロポーズの必要性を話すとは少しだけおかしな光景である。
「そうなったら………あ、あんたが私に…言うの?」
「うっ……………………………………そ、そう、なる、な」
「あ、あの!さ!」
 美琴はあわてて言った。
「まままままてるから!!!!!」
「わわわわわわわかりました!!!!」
 翌日、すぐさま美琴にプロポーズをした上条。結婚は二人が思っているよりも早く行いそうであった。

<おしまい>
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2010/09/11 23:30 | 禁書

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