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2024/05/16 21:26 |
鈍感and超電磁砲
2月12日『「上×琴」が入るかもしれませんな』と証言した数時間後、追加が決定した。
アニメ・マンガを主体にしているので7巻からの設定は未読ということで察してください。
一応、原作3巻の『妹達編』を参考に書きました。なのでツン成分が予定よりも多めになってしまいました。ですが、後悔はない!

時間軸はif設定にしました。理由は原作との矛盾を起こさないためです。



「……不幸だ」
 上条当麻は、とりあえずため息をつきスーパーの袋を持ちながら夕暮れに橙気味に染まる帰路を歩いていた。
「カードのポイントが初期化されるなんて……せっかく何ヶ月も貯めたのに」
 会計時、ポイントを利用しようと思っていたが不幸にも機械の故障によりカードのポイントは初期化してしまった。もしそのまま残っていれば、最低でも千円以上は割引できたはずだった。
 何か月分の苦労が全て消え去ってしまった現実には上条も落ち込むしかなかった。もちろん、ポイント目的に買い物をしていたわけではなく生活費としてのついでの存在であったが、失ったリスクは大きかったのでよりそれが響いていた。
「ちょっとアンタ!」
(はぁー……さらに不幸の予感)
 上条のことを「アンタ」と言い毎回のように学習しない言い方をする人物は一人しかいない。御坂美琴。正直勝負事は今勘弁して欲しいので上条は何食わぬ顔で気づかないふりをした。
(無視だ無視。上条さんには何も聞こえませーん)
「ちょっと!毎回毎回無視するなって言ってるでしょう!!」
 無視されたことに腹を立て、少しずつ攻撃的な口調になっていく。
 上条は今までの経験と直感で危ういと感じ、呆れたため息をついて後ろを振り返った。
「今日は何の用だビリビリ。言っとくがご覧の通り、上条さんは買い物からの帰宅途中ですから勝負はお断りです」
「わ、わかってるわよ。両手のふさがったアンタなんかを倒しても、意味ないことぐらい……」
(ふさがってなかったらやる気だったのか……なら先手を打たれる前に)「と言うわけで今日は退散させていただきます」
 その言葉を言い終わってすぐに上条は全力でその場から逃げた。
「って?!逃げるなーーーー!!!」
 美琴は、逃げていく上条を全力で追いかける。電撃で威嚇しようと思ったが、通行人が何人かいたためやめた。
 電撃で攻撃しない以外は相変わらずの展開であったため、最終的に上条に追いつくことが出来ないのもお決まりであった。


「また逃げられたか…」
 美琴は渇いた喉を潤すために、いつも利用する自動販売機に上段蹴りを叩き込んだ。
 その際出てきたのが『ヤシの実サイダー』だったため、「ラッキー」と思いながら近くにあるベンチに腰を下ろした。
「アイツ……今、何やってるんだろう」
 ビニールの袋を持って走っていった上条は、必然的に家へと帰り夕食の準備を始めているのだろう。しかし、実際に上条がどのような部屋でどのような生活をしているのか知らない美琴からしてみると、『夕食の準備よりも前にテレビを見ているのかもしれない』『走ったあとだろうから汗を流すシャワーを浴びているのかもしれない』『また不幸な出来事に巻き込まれてまだ帰っていないのかもしれない』と様々な想像が出来るため、連想ゲーム感覚で考えることが出来た。
「アイツの生活か……やっぱり興味があるな。まさか、料理は誰か別の人に……いやいや、アイツの住んでいるところは男子寮って言ってたし。
 でも、アイツはいろんな女から好かれるからもしかしたら………うん、ありえそう」
「何がありえるんだ、ビリビリ」
「ひゃぁぁぁぁああッ???!!!」
 あまりにも突然であったため、美琴は反射的にベンチから立ち上がってしまった。
「な、ななな………なんで……」
「なんでって…買い忘れてものがあって、それを買って帰る途中に一人で座る不良っぽいビリビリ中学生を見つけたんで、声をかけただけだ」
「誰が不良っぽい中学生よ!!!それに私の名前は御坂美琴だって何度言えばわかるのよ!」
「はいはいそうでしたねみさかみこと(棒読み)」
「面倒そうに言うな!!!」
 瞬間、青い火花が美琴を中心に広がる。上条は考えるよりも反射的に右手の幻想殺し(イマジンブレイカー)で自分の身を守った。
「あぶねぇな!毎回毎回、電撃電撃だとこっちの身がもたねぇよ!!」
「うるさい!これも全部、アンタが悪いのよ馬鹿!全部全部アンタのせいよ」
「はぁ?なんで全部俺のせいにされなくちゃならねぇんだよ」
「会うごとに無視する。戦いを挑んでは逃げる。ちゃんと私の話を聞きなさいよ!」
「だったら、会って早々攻撃するなよ。上条さんにも限界というものがあるんだよ」
 上条はため息をつきながら、上条は美琴の隣に座った。そして、
「なっ!?ななななななななななな!!!!」
「なので、能力を封じさせてもらうぜ。これ以上、電撃をもらうのはごめんだ」
 美琴の左手を右手で握ることで能力を封じた。上条はとりあえず(いまだけ)自分の命が安全であることに安堵した。
 一方の美琴は上条に手を握られことで、冷静さを失いつつあった。
(アイツに握られてる。しかも、恋人つなぎだし力もあるし……これは夢?夢なのかしら?夢なわけ?なら、今のアイツは幻想……じゃない。今ここにいるのは鈍感というだけでは表しきれないほどの鈍さを持つ馬鹿なのよ!だからこれは無意識で………で、でも手を……)
「あの……どうしたんですか御坂さん?」
 ぎゅっ、と美琴の手に力が入る。今の美琴の心理状態に関係のある行動であったが、鈍感な上条はそれを理解できずとりあえず握り返してやった。
(また悪いことでもしたかな……視線は合わせないし黙っちまったし……って顔が赤くないか。それになんだか表情もさっきよりも…)
「ちょっといいか」
 上条は左手を美琴の頭に添えると、自分の額を美琴の額にくっ付けた。
(近い!近い!近い!嬉しいけど顔が近いわよ!馬鹿)
「なにやってるのよ!だ、大丈夫よ!どこも――」
「いいから静かにしてろ。そんな真っ赤になった顔で言われても説得力ねえぞ」
(熱があるから顔が赤いんじゃなくて、恥ずかしくて……嬉しいから赤いのよ!なんでコイツは気づかないのよ!!)
「少し熱いな。もしかしたら微熱かもしれないが……って御坂さん、なんでそんな怖い顔で上条さんを睨んでいるのでしょうか?」
「な、何も感じ…じゃなくて、なんでもないわよ!!それにいい加減に気づきなさいよ!」
「気づくって…何をだよ?お前、言ってることわけわかんねえぞ」
 本当にわからないと言う様に上条は首をかしげた。しかし美琴からしてみると、それは一種の挑発に近い仕草であり、不機嫌になる種には十分な理由であった。
「あ・ん・た・は・ね・え」
「………………へ?」
 上条はかなり危険な殺意を感じた。それが誰のもので誰に対してなのかは、経験から瞬時に理解できた。
 だが、上条は理解したゆえに気を緩めてしまった。
(あれ……?右手がいつの間……って??!!)
 振りほどかれた右手と自分の至近距離で波のように暴れる青い稲妻。『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ御坂美琴が今自分の目の前で殺気立ち、電撃の中心にいる。
 果たしてこれが何を意味するのか……上条は頭が理解する前に身体が理解した。
「いい加減にその鈍さを治せって言ってんだろうがこらっーーー!!!!」
「待て御坂!そんな電撃喰ら、だああぁぁぁぁぁ!!!不幸だーーーー!!!!!」


 その夜、学園都市内で大規模な停電が起きた。
 原因は人為的な落雷…と報道された。
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2010/02/14 10:36 | 禁書

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