忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/05/03 14:23 |
とある超電磁砲の入学式 前編
今回は長いので前後にわけました。
一言コメントは時間がないので明日にまた追記で書きます。
追記
結局入学式内で何かしようと思ったけど思いつかず終わった後に…としました。
後悔はない。というよりも周りは知らない人だらけが入学式の印象なんで、何があったかなんて記憶する余裕がなかったあの頃wwww



 上条の高校の入学式は常盤台とは違い普通の高校で行われる普通の入学式………ではなかった。
 といってもそれは今年限定であり常盤台ほどではない。それでも普通の高校よりも一部が豪華仕様になっていた。それはテレビ放送をされている点と参列している人たちが国のお偉いさんばかりであったこと。
 そしてもう一つ、常盤台にはなかったことがこの高校での入学式で行われていた。
「はぁー入場制限なんて入学式、あるもんなのね」
「ははは。私も驚いてます。でも御坂さんの友人だったから楽勝でしたね」
「同感。御坂さんの友人じゃなかったらあたしは今頃御坂さんの入学式のテレビ放送を今か今かと待ってたかも」
 この高校に入学することとなった二人の友人であり先輩である御坂美琴の身内として招待された初春と佐天は、高校の正門で入学式のチケットを見せ無事に入学式の会場がある体育館前にたどり着いた。
 朝から長い列を並び長かった苦労を終えてやっと一息つけるような気がした。佐天は持ってきていたスポーツドリンクで喉を潤すと人の群れが出来ている方向、体育館の方向へと歩いていった。
「そういえば白井さんは?」
「白井さんはとっくの昔に入ってます。なんでも徹夜で並んでたらしく一番に入って席を確保したみたいですよ」
「さすが白井さんとしか言えないね。これも全部御坂さんのためだと思うとあたしは何と言って白井さんに挨拶をすべきか」
「変態の一言でいいと思いますよ。それかストーカー」
「はっはっは、相変わらず白井さんのいないところだと容赦ないね」
「事実じゃないですか。それにいないからこそ言いたかったことも言えるんです」
 初春は胸を張って答えるが、それは違うだろうと佐天は呆れた笑みを浮かべた。
 しかし初春の言うことも一理あるかもしれないと、佐天は白井が体育館で待っている光景を想像してみた。
 きっと待っている白井は今か今かと最新型のデジカメ、またはテレビカメラは首にぶら下げながら入学式が始まるのを待っているのだろう。席はきっと自分のカメラのピントが綺麗に合う場所を確保している。さらにその席で何度も何度もイメージトレーニングなどをしてニヤニヤとしている白井の姿が鮮明に想像できてしまうと時点で、きっと想像通りのことが体育館内で起こっているのではないだろうかと思うと佐天は呆れるを通り越して変態の意味で尊敬したくなった。
「初春、席はどうするの?」
 このまま考えていたら白井の全てが美琴を愛する変態へと変わってしまうような気がしたので、佐天は白井をそんなイメージに変えないためにも初春に話題を振って自分の頭も一緒に別の話題に変えた。すると初春は何かを思い出したように驚き、いきなり佐天の手を握った。
「え…? う、初春??」
「そうです! すっかり席のことを忘れてました。急ぎますよ佐天さん!」
 そういうと初春は駆け足で体育館の方へと向かっていく。手を握られていた佐天はというと、なんでそんなに元気なのと思いながら初春に手を引かれてともに体育館に急ぐ途中で、佐天は初春の片手に握られていたものを見た。
(ビデオカメラ……初春)
 白井とは別の意味で初春も美琴の入学式にとても興味があったみたいだ。そして単純に美琴の晴れ姿を見るだけが目的だった佐天は、二人の友人のせいで式が始まる前まで散々な目にあってしまったのだった。



 入学式のプログラムは常盤台の時とさほどかわらないように見えた。
 開式の辞、
 国歌斉唱、
 入学許可、
 学校長式辞、
 教育委員会の挨拶、
 来賓祝辞、
 紹介、
 教職員の紹介、
 新入生代表の言葉、、
 校歌の紹介、
 閉式の辞。
 担任の小萌先生にもらったプログラムを一つ一つ思い出してみると、常盤台の卒業式と大差がないように思えた。というよりも同じような内容があったことを思うと入学式も卒業式も役者と中身が違うだけのものだと思えてきた。
 考えてみても入学式は学校の生徒として入るもので卒業式は学校の生徒として出て行くものだ。並べてみるとまさに出入口だったので、似ていると納得できなくもないことだ。というよりも出入口の表現で納得できてしまうので上条はそれで入学式のプログラムの疑問を納得することにして、目の前の現実を少しずつ受け入れていくことにした。
(なんで…こんな目に)
 上条の見ている光景は、ほかとは一味違ったものであった。何故ならが今いる場所は体育館の壇上、校長の横の席だったのだ。
(なんだなんでなんですか!!?? 何故わたくしめはこんな場所で入学式に参加しなければならないのでせうか???)
 明らかに公開処刑と言う名の極悪な拷問であった。
 周りを見れば学校長と副校長、さらには来賓として招かれた教育委員会のトップや有名な政治家などが座っている。さらにはテレビ局のカメラが壇上の袖幕の裏からこちらを映しているのが見える。
 今頃お茶の間では上条が映されているのだろう。しかしテレビに映っていると考えても思ったよりは緊張はしなかった。自分でも意外であったがよくよく考えてみればテレビに映るのは今回で二度目であったことを思い出し、初めてじゃないからなと思った以上に緊張しない自分に納得がいった。
 それよりも上条が気になったのは、周りにいる大人たちではなく校長とは逆の方向に座っている自分の婚約者である御坂美琴の存在であった。
(美琴…大丈夫か?)
 プログラムの記憶が正しければそろそろ教職員の紹介が始まりその後に美琴が代表を務める代表の言葉が待っている。そこで美琴は卒業式と同じように壇上で代表の言葉を述べる。
 一度は行った大役ではあるが大勢の人前で話すのは何度やっても緊張しないわけがない。しかも常盤台の卒業式で話題になったことによる期待やテレビカメラが見ていることでさらに緊張感が増しているのだろう。
 上条は美琴を気にして顔をずらそうとする。だが動かす場所によっては小さな動きでも目立ってしまう壇上の上であったので、目立たないように動くことは難しかった。手ならば動かすことが出来るかもしれないが、椅子の並び方が斜めに登っていく並び方であったため、美琴を見るためには少しばかり顔を動かさなければならなかった。
 本来の上条の性格ならば、別に目立ってもいいじゃないかと思う適当な場面であるが、入学式が始まる前に教師一同に在校生の代表として恥をさらさないようにと念を押されたので動くのも命だけであった。単位や学校内での不幸(じけん)でお世話になりっぱなし教師一同には、上条も頭が上がらなかったので上条はそれに素直に従うしかなかった。
(でもなー…やっぱり気になる)
 それでも上条は美琴のことが心配でならなかった。なので少しずつ顔を動かしながら横目で美琴の顔を見ようと必死に動いた。
 そして視界の端っこに美琴の顔を捉えると、もう少しと悟られないように慎重に動かしていった。
『新入生代表の言葉。新入生代表、御坂美琴』
 だがあと少しというところで美琴の出番であるアナウンスが流れる。名前を呼ばれた美琴は勢いよく、はいっ! と立ち上がると真っ直ぐに伸びた背筋が上条の横を通り過ぎて行った。
(……不幸だ)
 結局、上条は美琴の顔を見ることも出来ずに無駄な労力を使ったのだった。それは式中にトラブルを起こしてしまうよりも不幸な不幸であった。


『―――以上を持ちまして、入学式を終了いたします。一同、礼!』
 入学式が終了した放送が流れた。体育館にいた生徒や保護者、来賓一同はアナウンスとともに頭を下げて礼をし終えると、席に座って入学式が終わったことの安心感を味わっていた。
「でも入学式は終わらない。というか終了するって言ったのにまだ出番があるって面倒だよな」
「そうよねー。しかもこれが終わっても、私たち新入生は教室で説明があるし終わったとはまだ思えないわね。それに教科書とか重い荷物もたくさんあるんでしょ?」
「ああ。ここは普通の学校だからお嬢様の通う常盤台のように自分の部屋まで宅急便じゃないぜ」
「まったく、いつまで常盤台のお嬢様を引っ張ってるのよ。それぐらい、私にもわかってるわよ」
 入学式のアナウンスを聞きながら仲良く話す上条と美琴は体育館にある女子更衣室にいた。
 といっても上条と美琴は扉越しに話している為、二人は互いの姿を見ていない。更衣室の扉の中側には美琴が、外側には上条がそれぞれ立っていたので二人の常識ではなく世の中の常識で二人は話していた。
 そして何故上条と美琴がここにいるのかにもちゃんとした理由があった。
「それにしてもこのドレスで演奏するなんて、あの頃みたいね」
「ああ。名前の知らない頃に会ったときは、えっと……なんて名前だったか忘れたけど、確かその時にお前はバイオリンを弾いてたよな」
「そうね。アンタの中ではその時、盛夏祭が私を初めて見た瞬間だったのよね?」
 盛夏祭は記憶を失った上条が初めて美琴の姿を見た日である。あの日は土御門舞夏に誘われてインデックスと共に来ていただけだったので、まだ美琴とは一切の交流もなかった。さらに会ったのはいいが、美琴の一方的な勘違いであの時は交流らしい交流もなかった。
 それから数週間後にあった自販機でのにせんえん事件の一件で上条は初めて美琴だと知ることとなったのだった。
「御坂だと知らないお前にインデックスの行方を訊こうとしたらいきなり椅子で叩かれそうになって。あの時は本当に驚いたぞ」
「でも見知らぬ女の子に、綺麗って普通に言ったのは許せないわよ。アンタ、他の女にもあんなことを言ったんじゃないわよね」
「ファッションに関しては御坂から訊かれた記憶しかないからよく覚えてない。でも俺は御坂一筋って決めたし、どんなスタイルのいいやつと比べてもお前には敵わねえよ」
 上条は全て素直に答えているので言葉には嘘偽りは一切ない。それが美琴にはわかっていたので、上条が褒めてくれることに素直に喜ぶことが出来た。
 過去の上条は鈍いこともあって、褒めてくれても美琴が解釈したのとは別の意味であったり余計な一言付け加えたりと喜べても言われた一瞬だけで、期待を裏切られることもあったので素直に喜ぶことがほとんど出来なかった。しかし今日の上条は過去の上条とは打って変わって、言ってくれる言葉のほとんどが美琴を中心にした言葉であり余計なことも言ってこない。あの頃とは真逆であったのだ。
 だから美琴は上条が自分だけを見て話している事がたまらなく嬉しくて、顔の緩みが治せなかったがここには一人だけで上条も入っては来ない。なので緩みを治す必要がなかったのは美琴には大きな幸いであった。
「えへへ。私も当麻一筋だからそういってくれると嬉しいな」
「そ、それは……嬉しゅうお言葉」
「あれ~? もしかして照れてる?」
「ッ!! う、うるせえ! 早く着替えろよ」
 扉越しで顔を真っ赤にして照れている上条の表情は、今の美琴には容易に想像できた。
 その顔は少し可愛く思えて美琴はクスクスと小さく笑った。そして会話を少しやめ、噂の白いドレスを持ってみた。
 実はあの時のドレスは今は家にあった。今日持ってきたのはまた新たに作ってもらった新しいドレスで、美琴はこれに着替えるために女子更衣室にいたのだ。しかし新しいドレスのデザインはあの時とほとんど同じの特注品を作ってもらったので、サイズが大きくなったぐらいでそれ以外は盛夏祭のときとあまり変わらない。
 これは上条の強い要望で実現したものであった。何故なら上条は盛夏祭の時はインデックスと一緒にいたので、美琴の演奏は見ていなかったの。だから入学式の場を使って上条はドレス姿の美琴の演奏を見たいと頼み込み、今回の企画が成立した。
「でもよく私の演奏の企画なんて通ったわよね。最初は私たちの会見じみたことを計画してたのに、なんで」
「ああ。あの"上条当麻・上条美琴、夫妻版"のままだったら確かに会見だった。でも今日は入学式で主役は俺よりもお前のほうだろう? だから俺ばかりが質問攻めを喰らいそうな会見じゃなくて、御坂がメインで出来る演奏にしてくれって何日も何日も小萌先生たちにお願いしたんだ。それで最後は何日も頼み込んできた俺に折れて先生たちは御坂の演奏に首を振ったってわけだ」
「折れて、ねえ。一体アンタは何をしたわけよ」
「カミジョウサンハナニモシテオリマセンヨ」
 頼み込んだだけで首を縦に振るなど思えない。きっと上条は何かをして、それの交換条件でこの企画を成立させたのだろう。
 美琴は言いたかったことがあったが、それは演奏が終わったあとにとっておこうと胸の中にしまいこんだ。その代わりに、上条のためにも成功させようと思いながら、制服を脱ぎ始めた。
 まだ着て数時間しか立っていない制服はすでに汚れがついてしまっている。美琴はパンパンと汚れや埃のついた部分を叩き、脱いでいった制服を一枚一枚丁寧に畳む。全て脱ぎ終わり下着姿になったところで持って着ていた大き目の巾着袋に脱いだ制服を全て入れていると、美琴は白いドレスに着替え始めた。
「あの時とは……違うわね」
 妙な期待をされていた盛夏祭の時は美琴はあまり気乗りではなかった。大役を任され公の場でバイオリンを演奏するのは、とても緊張することであったし自分には柄ではないと思っていた。だからあの時は逃げ出そうかなとも考えていたが、演奏の直前に緊張を吹き飛ばしてくれた上条がいたから美琴が無事に演奏が出来た。
 そして今回、盛夏祭の時以上の大役を任されテレビや政治家などの偉い方々がいる中での演奏はあの時以上に緊張している。周りの期待や見られる規模は信じられないほど大きく、逃げ出したいと思う気持ちは美琴の中に微かにあった。でも緊張しっぱなしだが盛夏祭の時とは違い今回も出来ると思う自信が少しだがあった。
「ねえ当麻。そこの周りには誰もいない?」
「ああ。あと時間まであと二分ぐらいしかないぞ」
「二分………二分だけ、か」
 着替え終えると美琴は制服の入った巾着袋と近くにあったバイオリンケースを持って、更衣室のドアを一回ノックした。ノックから一呼吸置いてドアノブを回して更衣室の外へと出ると上条が壁に寄りかかりながらこちらを見ていた。
「すげえ綺麗だと思いますけど」
「それはあの時の再現? でも綺麗って言ってくれたことは嬉しいな」
「それじゃあ言い直す。すげえ綺麗だよ美琴」
 上条は笑って美琴の頭を優しく撫でると、えへへと嬉しそうに笑いながら美琴は抱きついてきた。周りに誰もいないことを確認していた上条は、今はいっかと呟いて優しく美琴を抱きしめ返した。
「やっぱり当麻の胸が一番落ち着く。このまま一日ここで過ごしたいかも」
「おいおい、それはまずいだろう。って言いたいけど上条さんはその意見に同意したくなるな。美琴を抱きしめてると離したくなくなっちまう」
「えへへへへ。私は当麻のものだからそれでも構わないよ。だけど当麻は私のものでもあるから私の言うことにも従うんだよ」
「俺がいいって言う限りはな。全部は答えられないからな」
「わかってるって。私のダーリン」
 その言葉にはさすがの上条もぶっと噴出して真っ赤になった。そして、ああとそっぽ向きながら強く美琴を抱きしめた。
「なんだか美鈴さんみたいなもんが入ってないか? キャラがちょっと変わってきたぞ」
「さっき尋問で私のことを『美琴は俺のものだ! こいつを愛していいのは俺だけだ!』ってテレビやみんなの前で言ったのは誰だっけ?」
「………嘘ではないし認めるが、それを今言うか」
 上条は入学式が始まる前に吹寄を代表とする在校生全員と記者の方々に尋問と言う名のインタビューをされたことを思い出した。
 三階にあった視聴覚室を借りて行われた小さな尋問であったが、質問がヘビーすぎたので途中から上条はやけくそになって答えきった。もちろん、上条が耐え切れない質問を美琴が耐え切れるわけもなく美琴も途中からやけくそになって答えきった
 そしてその質問の返答が入学式が終了した後にまた新たな話題として世間に出されるがそれはまだ先の話だ。
 ちなみにその中の一部を紹介すると、
『上条さんにとって御坂さんはなんですかって』という記者の質問に『俺の命よりも大切な妻』と真顔で答えたり。
『御坂さんは上条さんのために毎日やっていることは何ですか』という在校生の女子の質問に『そんなこと、多すぎて言えません。でもあげるとしたら当麻を愛することです』と美琴は思い出し笑いしながら答えたり。
『上条は御坂さんと結婚するつもりか』という上条のクラスメイトの質問に『わかりきったことを聞くな。それと結婚なんてもうしちまってる』と言ってその場にいた一同を凍らせたり。
『御坂さんは上条当麻と結婚するつもりは』という男子生徒の質問に『もちろんです。それに現実で結婚するだけじゃなくて死んでも一緒にいられるように死後でも結婚するつもりです。たとえ天国でも地獄でも』とツッコミ満載の夢物語な結婚話をし始めたり。
『カミやんはヤったのか』という上条の悪友であるグラサンの質問に『毎日のように何時間もヤってるが何か文句あるか、シスコン軍曹!』と自分が不謹慎なことをしたことを認めたり。
『家ではどんなことをしてるんですか』という記者の質問には『愛してあってます。心も身体も全てを愛し合って愛しつくしてます』と上条に抱きつきながら答えたり。
『私たちの目の前でキスできますか?』という吸血さんの質問には『それじゃあ』と答えて一分間、キスしっぱなしになり視聴覚室で自分たちを見ていた全ての人間に自分たちのキスを見せつけたり。
 と、こんなこともあって二人はすでに家の外でも中でも特には関係ない状態になりつつあった。甘えられる場面なら甘えて甘えさせて欲しいなら目いっぱい甘える。それらが身につき始めた上条と美琴は今がその時だと言わんばかりに美琴がめいっぱい甘えてきたので上条は甘えさせてあげていたのだった。
「ねえとーま。ちゅーしてー」
「美琴さんや、そんな色っぽい声を出されたら上条さんはここで間違いを起こしそうです」
「クスクス、それはさすがにダメじゃない。ダーリン」
 美琴は楽しそうに笑うと上条の頬にキスをした。キスされた上条はと言うと、お返しと言わんばかりに美琴の頬にキスをすると美琴と同じように小さく笑った。
「美鈴さんかよ、お前は」
「………そう言われるのは不本意だけど、もしかしたら親子だからかもね」
 だなと苦笑いしたあと上条の手は美琴の後頭部に優しく回された。
 サラサラとした指先から逃げていく綺麗な髪の毛がとても心地よく、かすかに香水の甘い香りがしたような気がした。おしゃれとは少し違うが、綺麗なドレス姿の彼女はとても美しくとても魅力的であった。
 上条はキスをする前にそのことを再度実感して目を瞑った。それからほどよい力で彼女の頭を自分に引き寄せると、音を立てずに自分と一つになった。
「ちゅ…ん………好きだ」
「うん」
 そして唇を離した二人は入学式後に待っていた御坂美琴の特別公演へと向かって同時に足を踏み出した。

<後編へ>
PR

2010/03/26 23:36 | fortissimo

<<とある超電磁砲の入学式 後編 | HOME | ゼロプラスファイブ 3>>
忍者ブログ[PR]